なかなか手を出してくれない憧れの先生の、こじらせた性癖をぶっ刺した夜

・作

母校の高校で国語科の教員をしている美澄は、在学中からの憧れの先生である冬樹の家にほぼ毎週末入り浸っている。こんな状態が一年も続いているのに、冬樹はキスすらしてくれない。ある日美澄は、セーラー服姿の女性とラブホに入っていく冬樹を目撃してしまい、問い詰めたら、冬樹にはこじらせた性癖があると告白され…。

「美澄、こんなところで寝たら風邪引くよ」

「ふぁ?先生…」

「いい加減、先生って呼ぶのやめてくれよ」

古典文法の小テストの採点をしながら、寝落ちしてしまっていた。

夢の中の私は高校生で、冬樹先生の授業を受けながら、チョークを持つ長い指を見つめていた。

「もう遅いから泊まってくだろ、僕は布団敷くから美澄はベッドで寝て」

「…せんせ…いや、冬樹と一緒に寝る」

「しょうがないなあ、じゃあ美澄が寝付くまで一緒に寝てやるよ。ほら歯磨けっ」

また子供扱いされてしまった。

冬樹は、私の高校の国語教員で、私自身も母校の教員になった現在は同僚で彼氏…、と言いたいところだけど、彼氏なのかはわからない。

1年もこんなふうに家に泊まって一緒に寝ているのに、冬樹はキスすらしてくれない。

通っていた中学がひどい荒れようで、同年代の男の子が嫌いだった。

どうしても学区内の高校に進学したくなくて、学区外の女子高に進学し、初めて嫌悪感なく話せる男性に会った。それが冬樹だった。

背が高く細身で、優しいけど微妙に皮肉っぽくて、文学から同人漫画まで、幅広く何でも読む読書好きで、文芸部の顧問をしていた。

二年生から卒業まで、部員は私ひとりだったので、冬樹も冬樹の家の夥しい数の蔵書もひとり占めだった。

高校を卒業してからは、冬樹とは年賀状だけの仲になってしまったけれど、母校での教育実習で再会し、憧れが再燃した。

国語の教員に欠員があり、運よく採用され、再び冬樹の家に入り浸るようになった。

冬樹の家は本だらけで、ものすごく落ち着く。

「ねえ、ぎゅってして」

背中からぎゅっと抱きしめられると、見た目は細くても、男の筋肉の質感にドギマギしてしまう。

「冬樹?」

耳元に規則的な寝息が聞こえてくる。

冬樹は睡眠時間が短いせいか、異常に寝つきがいい。

体を捩って冬樹の眼鏡を外し、私も眠りに落ちた。

*****

「やっだー!プリンだよ、絶対」

「いやパパ活でしょ」

金曜の夜、高校時代からの親友の茉凛と久しぶりに会った。

居酒屋からスタートして恋バナで盛り上がり、2軒目でも話は尽きず、3軒目のバーの向かいにはラブホがあって、ネオンに吸い込まれていくカップルの関係を下司に勘ぐる遊びをしていた。

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