私の彼は魔法使い。

・作

付き合い始めてまだ3ヶ月目の彼と私は、まだキス止まりな清い関係。ようやく初のお泊まりデートでエッチする流れになる。でも、彼の様子がなんだかおかしい。よくよく話を聞いてみると、どうやら彼は『魔法使い』らしい…?

付き合い始めてまだ3ヶ月目の彼と私。今日は彼から家に招待され、初めてお家デートをすることになった。仕事が終わってから地図アプリを頼りに彼の家に行き、彼お手製の夕飯を食べながらバラエティ番組を見てのんびりと過ごした。

そろそろお風呂に…となって、さすがに一緒に入るのは恥ずかしいので彼から先に入った。その間に食器を洗い、テーブルを拭きながら、

『同棲したら毎日こんな感じになるのかな…いやいや、気が早過ぎでしょ?でもお互い仕事もあるし、あんまりデートも出来てないし…移動時間とか考えたら同棲した方が…待て待て、だから気が早いって!』

と、1人で百面相をしつつ彼がお風呂から出てくるのを待った。ガチャリ、とリビングの扉が開き、パジャマ姿の彼が入ってきた。

「お待たせ。君がお風呂に入ってる間に、ベッドメイクしておくから」

なんてことを言われたものだから、早々にお風呂へ向かいワクワクしながら遠足前の小学生みたいなテンションでいつもより念入りに全身を洗った。

…そして、お風呂から上がって、ふたつ用意された寝床に愕然とした。ひとつは普段から彼が寝ているであろうベッド。もうひとつはベッドの横の床に敷かれた布団。

「僕が床の方で寝るから…君はベッドで寝なよ」

「う…うん、わかった。あ、アリガトウ…」

用意してくれていた蜂蜜入りのホットミルクを飲みながら明日の予定を話し、おやすみ、と挨拶を交わしてから電気を消して彼は床の布団、私はベッドに潜り込んだ。

『…違う。違う。違う!そうじゃないでしょ!せっかくのお泊まりなのに!一緒に寝ないの?!』

彼とはまだラブホテルも行ったことがなく、前回の映画デートの帰り際にやっと初めてのキスをしただけで清い関係だった。慎重で、マイペースな部分があるのも魅力だと思ってる。

がっついてなくて、私のペースに合わせてくれて紳士的で素敵だと思ってる。でも、でも…。それとも、お泊まりだからと変に期待してしまった私がいやらしい女なのかしら。

悶々として、何度も寝返りを打った。お風呂の時からずっとムラムラしている。下着だって、今日のために新しく購入した。このままじゃ眠れない。

「ねっ…ねぇ、起きてる?」

「んっ…どうした?」

今起きた、という感じはなかった。彼も眠れなかったのかもしれない。

「あのね、寒いから、一緒に寝たいなぁー…って思って…」

「ええっ!い、いいのかい…?」

「そっちに行くね」

私は彼の布団に潜り込んだ。

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