女神は今日も、深夜のコンビニへやって来る。

・作

漫画家を目指しながら深夜のコンビニでバイトする僕は、いつも深夜に来店する『女神』に密かに恋をしていた。ある時、勇気を出して女神に声をかけると、女神は1枚の名刺を僕に手渡してくれたのだった…。

『あっ、そろそろ来る時間かな…?』

深夜のコンビニは変な客ばかり来る。でもそれは、漫画家を目指す僕にはとてもいいネタの題材になるのでバイトするのは好都合だった。もちろん迷惑客の対応に困る時もあったけど、そんな中でも唯一僕の心を癒してくれる存在が…

『き、来た!女神だ!』

親の声より聞いた入店メロディが、僕の胸を高鳴らせた。声をかけなければ、と緊張しながら絞り出した「いらっしゃいませ」はひっくり返ってしまった。女神はくすりとも笑わず、眉ひとつ動かさず、いつも通りに決まったコースで店内の商品を見て回った。女神の反応がないことが、余計に僕の羞恥を煽った。

『き、今日こそは…女神に話しかけるんだ!頑張れ、僕!』

女神はおにぎりとサラダとお茶をカゴの中に入れて、レジへと向かった。品出しの途中だった僕は女神を追いかけて、カウンターの中へ入る。女神がカゴをカウンターの上に置く前に、13番のタバコを2個取って用意した。女神は何も言わず、財布をバッグから取り出す。商品のバーコードを読み取りながら、僕は震える声で話しかけた。

「まっ…毎日、ぉぉ、遅くまで、お疲れ様ですぅっ!」

女神は何も返事をしなかった。僕はおそるおそる、目線を商品から女神の顔に移した。女神はきょとんとした顔で、僕を見ていた。初めて真正面から見た女神に、僕は心臓が爆発しそうになった。そして脳内SNSに感想を連投しまくる。

『わああぁーーっ!やっぱり美人!綺麗だっ!顔がいいどころじゃない!女神の美しさを伝えたいけど語彙力が足りなくて辛い!ほあぁーーっ!!」

「…あなた、疲れてるの?大丈夫?」

「えっ?!」

「急に叫んだりして…」

「ああっ!すすすすすみませんっ!」

途中から声に出てしまっていたらしい。恥ずかしさのあまりこの世から消えたくなった。

「これ、よかったらどうぞ」

「へ?」

女神がバッグの中から取り出したのは、1枚の名刺だった。そこに書かれているのは派遣タイプ風俗店の名前と電話番号と、そして…

「ここで『ダリア』って名前で働いてるの。疲れて癒されたくなったら、呼んでね」

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