初体験の私に、0から優しく教えてくれた彼氏

・作

大学3年のさくらは、同じクラスの海(うみ)と付き合い始めて1ヶ月。初めて海がひとり暮らしをする家にお泊まりすることになって…「わたし、経験なくて」「俺が全部教えてあげる」なんの経験もないさくらに、海は優しく全てを教えてくれると言って…

「お邪魔します~」
「あがってあがって~」

今日は初めて海の家に上がる。初めての彼氏と初めてのお泊まり、緊張しつつ靴を揃えて部屋に向かう。

(やっぱりお泊まりってなったらそういうことするかな…したいけど…何も経験ないからまじでわかんないぞ…)

「さくら?どしたの?」
「っあぁ、ごめん聞いてなかった!!なんて?」
「夜ご飯何食べたい?って聞いたんだよ」 

海が笑う。私は中学高校と女子校だったから、海が初めての彼氏だし、恋愛経験が全くない。お泊まりってことはそういう雰囲気になるから楽しみだね!と女友達に背中を押されたものの、結構不安である。なにせキスすらしたことがない。

「ね、さくら、前話してた映画!一緒に見よ」
「あー!いいねいいね」

とにかく夜のことはその時考えようと、私は映画を精一杯楽しむことにした。

*****

「さくら、シャワー浴びる?」
「ああ、じゃあ借りてもいい?」
「うんうん!シャンプーとかそういうのは見たらわかると思う!タオルは外に出しとくね~」
「あ、ありがと」

映画もご飯も終わり、いよいよシャワーを浴びる時間になってしまった。正直私の頭の中は、これからどんな雰囲気になってどんなふうに展開が進むかでいっぱいだった。

「でたよーありがと」
「はーい!俺も入っちゃおうかな」
「うん!」

ドライヤーで髪の毛を乾かしながら考えを巡らせる。部屋着はこんな感じで良かったのか…初めてすっぴんを見せるけど大丈夫なのか…もし下手って思われたらどうしよう…
考え出すと止まらないから、浮かんでくる心配を無理やり打ち消すしかなかった。

「はぁ~気持ちよかった~」

海がシャワーから出てきて髪の毛を乾かして、2人で並んでテレビを眺める。

「さくら、眠い?」
「んー、眠くないよ!」
「よかった」

海は私の頭を撫でて、耳元で囁く。

「一緒にベッド行こ」

私は急に近づいた距離にドキドキして、顔が熱くなるのを感じる。なんとか返事をして海の後をついていき、隣に寝そべった。

絶対に何かが起こる…と止まらない動悸を必死で抑えようとしていると、海が私の手を握る。

「さくら、緊張してる?」
「っえ、そ、そんなことないっ、」

上擦った声に気づいたのか、海は私を優しく抱きしめた。

「こわい?」
「ううん、怖くない」

背中に回された手に、安心感を感じる。

「…でもね海、私、全然経験ないんだ」
「うんうん」
「だからわかんないし、全然上手くできないかも…」

俯くと、海がふふっと笑う。

「上手いとか上手くないとかどうでもいいよ、俺が全部教えてあげるから」

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