私に執着する幼馴染の兄弟。やっと逃げられたと思ったのに

・作

幼馴染の仁と蒼はとにかく過保護。この二人に秘密で一人暮らしの為にアパートを借りたのに…住み始めて1ヶ月。隣の空き部屋に引っ越してきたのはまさかの仁と蒼!?黙っていなくなった私に怒る2人から監禁されて望まないはずの行為。こんなの望んでなかったはずなのに…もうこの2人から逃れられない。

ピンポーン

(誰だろう…やっぱりお金貯めて早いうちにモニターもあるとこに引っ越さなきゃかな)

とにかく早めに実家を出るために決めた引っ越し。
実家を出るというよりは…あの兄弟と離れるため。

(だって、あんなのがずっとそばにいたら彼氏だってできっこない)

そう思いながら玄関へ向かいドアを開けてしまったが最後。

「…はー、は!?」
「「隣に越してきた者です」」

胡散臭い、やっと離れたと思った2つの笑顔。
そう。仁と蒼の2人だった。

「お、香夜、隣だなんて奇遇だねー」
「立ち話もなんだし」
勝手に無理矢理部屋に入ってくる2人。

「ちょっと待って!何で2人がここにいるのよ!?ってか入るな!」
抗議なんて聞こえないとでも言うようにスルーされる。

仁と蒼は実家のご近所さん。
仁が香夜のひとつ上。蒼が一つ下。
仁たちには、10個も年が離れた双子の妹と弟もいる。
ご近所さんで親同士も歳が近くて、家族ぐるみで仲良くしている。

…でも、いくら家族ぐるみで仲が良いとはいえ、仁と蒼は香夜への過保護さが度を越していた。

せっかく共学の2人とは別の高校、大学に進学してもしょっちゅう来ては香夜の友達から外堀を埋めるものだから、26歳になった今の今まで彼氏がいた事もない。

社会人になって、資金も貯めてやっとのことで家を出てきたのに…わずか一月でこの兄弟に再会することになるだなんて…

*****

そして、今はなぜか酒盛りタイムになっている。
(あたし、あんまりお酒強くないのに…)

「蒼が作るの、やっぱり美味しい…どうして同じ調味料使ってるのにこんなに違うの…」
「そりゃどうも。まぁ、調理の専門通って今は見習いしてるからね」

テーブルには家飲みとは思えないオシャレに飾られた料理が並んでいる。

「それより。相変わらず弱いな香夜。飲みすぎんなよ」
「しかも、一人暮らしのことおばさん達に口止めしてただろ。ったく、聞き出すのに苦労したんだぞ」

しかもとか言いながら全然違う話題を振ってくる仁が、香夜の鼻をつまむ。

「うるはい」
「心配しただろ」
「んおー!離して!あんた達2人がそばにいたらいつまで経っても彼氏できないのーーー!」

「…は?彼氏?」
「そう!いつまで経っても恋愛できやしない!もーいい加減にしてよ!」

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