エッチな小説を書いているのが上司にバレて、夜のオフィスでお仕置きされちゃった話

・作

牧村夏帆は、鬼上司の島本主任と、生意気で減らず口の後輩の光とチームを組んで仕事をしている。ある日夏帆は、島本主任とふたりきりで残業中に、うっかり書きかけの官能小説のファイルを島本主任へのメールに添付してしまい、副業禁止の就業規則に反していると脅されてしまい…。

「牧村、見積りまだ?」

「はい。先方にも急ぎでやってもらってるんですが…」

「元はと言えば、あの会社のミスなんだからさ、もうちょっと、強気で追い込めよ。牧村、何年この仕事やってるんだよ」

「で、電話します」

ふう。

鬼上司め。

下請け会社のミスによる仕事のトラブルで、残業になってしまった。

オフィスに残っているのは、島本主任と私だけ。

「島本主任、何かお手伝いすることありますか?」

「お前、まさか帰ろうとしてないだろうな?後輩の光もこんな時間まで商品回収に駆けずり回ってるんだぜ」

「え、あ…あの…そうじゃなくて…」

「ねえよ。でも帰るな」

こ、怖い…。

島本主任は、イケメンだけど、いつも仏頂面で、近寄るとお線香みたいな匂いがして、めちゃくちゃ厳しい。

そして新入社員の光は、飼い犬かよってくらい島本主任に懐いている。外見も可愛らしい子犬系だ。

でも私にはなぜか意地悪で、お団子ヘアダサいとか、眼鏡が分厚いとか、数字のチェック細かすぎとか、毎日のように文句をつけてくる。

そうだ、小説の続きを書こう。

残業時間はその分短く申告すればいいんだし。

私は、書きかけの小説のファイルを開く。

2年ほど前に、結婚を約束していた彼氏に振られて以来、もう男は懲り懲りだった。

その体験をもとに恋愛小説を書き、そのうちにエッチなことを書くのが楽しくなってきて、気づいたら官能小説の世界にどっぷりはまっていた。

ためしに販売してみたら、わずかではあるけれど作品が売れるようになり、順調に新作を配信している。

リアルでセックスなんかしなくても、身近なイケメンとヤり放題なので、エッチな下着やアダルトグッズも買い揃えて気分を盛り上げ 、日々執筆にいそしんでいる。

今書いている作品のモデルは光だ。

誰もいないオフィスに彼が戻ってきて、そこでエッチ。

それからタクシーでお持ち帰りされ、靴も脱がずに唇を貪り合って、ペンギン柄のネクタイを解くっと。

光のペンギン柄のネクタイ、可愛かったな。

あれで、減らず口を叩かなければ、いいヤツなのに。

おっと、官能小説の販売サイトから、半額キャンペーンのお知らせが来た。

よし、SNSに作品情報を告知して盛り上げよう。

小説のファイルにSNSの投稿の下書きをする。

まあ、投稿してから削除すればいいんだし。

そうこうしているうちに、やっと見積りが届いた。

抜かりなく明細をチェックし、島本主任にメール添付で送る。

「今、見積りを送りました」

「わかった。確認するからまだ帰るなよ」

私の斜め向かいの席で、島本主任が真剣な面持ちで見積りをチェックしている。

「見積りって、2通来た?」

「1通でしたけど…」

ずいぶん時間かかってるけど、そんなにチェックすることある?

とりあえず、続きを書くか。

でも見積り2通って変だなあ。

って、もしかして…。

うわあああ!やばい。 

小説のファイル送ってた!

ど…どうしよう?

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