コインランドリーで年下の超絶テクに蕩けちゃう

・作

洗濯機が不穏な音と共にご臨終してしまったため、仕方なく近所のコインランドリーに来た26歳OLの奏(かなで)は、カウンターで文庫本を読んでる青年と出会う。ある日洗濯を待ってる間うたた寝すると、青年がキスをしてきて…。閉店後のコインランドリーで刺激的な体験。

ガコンッ、ドンッとおおよそ洗濯機とは思えない不穏な音が聞こえた。嫌な予感はしていた。

最近ガッタンガッタンいいながら前後左右に揺れた挙句前進すらしていた洗濯機だ。そろそろ寿命なんじゃないかと思っていた。まあ大丈夫だろうと思ったのが間違いだった。

異常な音にヤバい気がして色々ボタンを押した所、何がどうなったのか動かなくなった。

「もうご臨終か…」

ため息を吐く。もう21時を回っている。こんな時間に電気屋さんや修理業者に連絡が付くわけがない。仕方なく大きな袋に洗濯物を入れてコインランドリーに行くことにした。

洗濯機が家に来るまで暫く通ってたけれど、最近行ってなかったなぁ。引き戸をガラリと開けると、カウンターに座っていた青年と目が合った。

「いらっしゃいませ」

「…こんばんは」

にこりともせず、定型文を口にした青年はもっていた文庫本を読みはじめる。私は窓際のベンチでスマホをいじりながら洗濯が終わるのを待つ。

時折本のページをめくる音と洗濯機の回る音しかしない。静かで落ち着く。
乾燥が終わるころには、23時近かった。大雑把にたたんで帰ろうと引き戸に手をかけると、

「ありがとうございました。またお越しくださいませ。ここ、23時閉店なのでもう少し早くご利用ください」

「え、あ、すみません…」

「いえ」

何とも言えない沈黙。さっさと帰ろうと引き戸を開けて、ふとカウンターを振り返ると青年と目が合った。ぺこりと軽く頭を下げられたので私も軽く会釈を返す。多分ちょっと年下だろうけどアルバイトかな。不愛想で、にこりともしないけど。そんなことを考えながら家路をたどった。

*****

花の金曜日とかいうけど、急なトラブルで残業。友達と久しぶりにご飯でも行こうと話していたのに、泣く泣くキャンセルする羽目に。

「いいよ、いいよ。仕事じゃ仕方ないよ、残業頑張ってね」

と言ってくれた友の心遣いに泣きそう。大分弱っている。

洗濯機はというと修理業者の人に新しい物を買った方がいいと言われた。貯金がないわけじゃないけど、給料日を待つことにした。洗濯機も種類ありすぎて何買っていいか分からないし、パンフとかでしっかり吟味したい。

ということで、スーツのまま今日もコインランドリーの引き戸を開けた。

「いらっしゃいませ」

「こんばんは」

チラッと青年は時計を見上げる。ドキッとする。もう21時は過ぎている。何か言われるかと身構えたけど、何も言われなかった。ほっと息をつき洗濯機に小銭を入れた。

規則的にゴウンゴウンと低い音がする洗濯機。単調なリズムのそれが眠気を誘う。スマホを持ったまま意識が落ちた。

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