私たち、青春やり直しています

・作

ある日、夫の雄二から「これを着た君を抱きたいんだ」と言われた私。手渡されたのはセーラー服、そして連れて行かれたのは教室風の内装のホテルでした。学ランを着た夫は新鮮で、タイムマシンにでも乗ったみたい。高校時代に憧れていた制服での秘め事を、アラサー夫婦でやってみようと思います。

「あのさ、ちょっと恵美にお願いしたいことがあって…」
「なぁに?」
「これを着た君を抱きたいんだ」

そう言いながら夫の雄二が手渡してきたのは、私が高校時代に着ていたセーラー服だった。私と雄二は同じ高校出身で、在学中にはほとんど接点がないまま卒業した。それから仕事で再開し、20代後半で結婚して今に至る。

「これ…この間、部屋を片付けたときに出てきた制服…」
「もう着ないから捨てるって言ってただろ? だからその前に一度くらい、どうかなって…」

もうそろそろ子どもが欲しいね。そんな家族計画を抱き始めたのにあわせて、先日から少しずつ荷物の整理に取り掛かっている。この1LDKのアパートでは手狭だからと、妊娠したときには引っ越すことを検討していた。

「明日の休み、映画見に行くって話してたから。もし恵美が嫌じゃなかったら、その後ホテルにでも行ってさ」
「うん…いいよ」

翌日、私たちはそれぞれ学ランとセーラー服を手荷物に忍ばせて、街中を歩いていた。映画は面白かったけれど、その後に食べたランチは集中できていなかった。繁華街から外れた裏通りを歩き始めたらさらに緊張と高揚が増してきて、雄二と繋いでいる手のひらがじんわりと汗をかいていた。

「ここのホテル、教室みたいな部屋があるんだって」

私たちはお互い童貞と処女で結婚した。いわゆる、アブノーマルと呼ばれるようなプレイはしたことがない。だからこそ、今日のセックスには並々ならぬ期待と不安が入り交じっている。顔を見る限り、それは雄二も同じであるらしかった。

「ン…ぁ…」
「恵美、似合ってるよ。可愛いね」

シャワーを浴びて、持ち込んだ制服に着替えて向かい合う。慣れたはずのキスも、何だかいつもより甘酸っぱく感じた。学ランを身にまとった雄二は、本物の高校生のときに見たことがあるはずなのに、なぜだかとても新鮮だった。

「こうやって、学校の教室でエロいことしてた生徒もいたのかな?」
「どうだろう…放課後の部室で、っていう噂なら聞いたことあったよ」

机と椅子、それから黒板に教卓。実際の教室を縮小したような内装の部屋は確かにチープではあったものの、その「作り物感」もあながち悪いものではなかった。ここは、高校時代のあの学び舎なんだ。そう思い込んでしまえば、細かいことを気にしている余裕などなくなった。

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