傷心中の私は年下男のナンパに付いていき…。

・作

二年付き合った彼氏から別れを切り出され公園で放心していると、一人の男性に声を掛けられる。自身より年下に見える男の誘い。普段は無視する内容でも自暴自棄になっていた私は、誘われるがままホテルに付いて行く…。

もう日付も変わる頃、私は公園のベンチに何をするわけでもなくただぼうっと座っていた。いや、何もしてない訳じゃない。ベンチに座ってついさっきのことを思い出していた。

『これまで頑張ってきたけどもう無理だ、別れよう』

たった一言、それだけだった。二年間付き合って、最後はこんなあっさりなんだ、とか、なにが悪かったのか、とかそんな考えが去っていく背中を見ながらぐるぐると駆け巡っていた。

それでも言葉が出なかったのは、どこかでこうなるだろうな、ということがわかっていたからかもしれない。

やりきれない気持ちを抱えながら、冷える夜風を浴びていた。

「お姉さん、大丈夫ですか?」

知らない男の人の声だった。ちらりと声の方へ目を向けるとまだ若い、二十代前半くらいの男の子がいた。

「一時間くらい居ますよね?風邪ひきますよ」

「…そんなに時間経ってたんですか?」

驚きの情報につい言葉を返してしまう。どうりで手足の先が冷えて、軽く感覚が無くなっているんだとどこか他人事のように考えていた。

「なにか悩み事ですか?良かったら話聞きますよ」

普段だったら断っていただろう誘いだった。…でもこの時の私は彼氏に別れを告げられた直後ということもあって、誰かに話を聞いてもらいたいという気持ちが生まれていた私は頷いていた。

「じゃ、ゆっくり話ができるところに行きましょう」

私は言われるがまま彼の後をついていくことにした。

*****

そうして連れてこられたのはホテルだった。

「こんな時間だから空いてるような店もないんで我慢してくださいね」

言い訳のように目の前の男が言うが、私は正直どうでも良かった。下心があろうが無かろうが、とにかく何も考えたくなかった。

「ここなら誰も見てないから、話してみてよ」

その声はとても落ち着いた声色で、縋りたくなってしまう。

私は少し悩んだ後、ぽつぽつとこれまでのことと別れの経緯を話した。

「…いつもうまくいかなくて、私になにか問題があると思うんだけど…」

「こういうのは相性ってのも大事だから、お姉さんだけに問題があったとは限らないと思いますけどね」

「…随分優しいんだね」

「そりゃね、こんな可愛い人を振るなんてもったいないですよ」

「口説いてる?」

私がそう聞くと男の子は笑みを浮かべて言った。

「もちろん。じゃなきゃわざわざ声かけたりしないでしょ」

その言葉がなんだか嬉しかった。

「じゃあさ、相性、確かめてみる?」

私がそう言うと、男の子は少し驚いた顔をして私の手を取る。

「…いいんですか?」

その言葉に私は頷いた。

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