欲望フラストレーション (Page 2)
「ありがとうございます。実際は、全然稼げていないんですけどね…」
ついネガティブな返答を行ってしまったが、それに対し拓馬は明るくフォローしてくれる。
「だけど好きなことを積極的に取り組んでいれば、いつかきっと成功すると思うな。情熱を持てるって、それだけで立派な武器だし」
彼の言葉に励まされた里香は、胸が軽くなるのを感じ、にこやかに微笑む。
「そうですね!」
「おっ!里香ちゃん、笑うと更に可愛いね!よし。もっと里香ちゃんの笑顔が見たいから、頑張るぞ!」
そう言って拓馬は、トークスキルを駆使して、里香を楽しませてくれた。
気がつけば里香も、拓馬とタメ口で話し、心底リラックスしている。
一見、軽薄そうに見える彼だが、実際は頭がよく、里香と共鳴する部分を数多く持っていた。
”拓馬さんって、会話していて、楽しい男性だな”
そんな風に彼に好印象を抱く里香だったが、楽しいひと時ほどあっという間に過ぎるもので、気がつけば街コンも終了間近である。
このまま彼と別れるのは名残惜しいと感じていると、拓馬から、こんな提案があった。
「もっと里香ちゃんと話したいな。よかったら、俺のマンションに来ない?」
それが何を意味するのかは、彼女にも、もちろん分かっている。
本来なら、男女の色恋に溺れる余裕なんて自分にない。
だけど今夜くらい、弾けてみたいという誘惑に勝てなかった。
「じゃあ、せっかくだしお邪魔しよっかな!」
お酒の酔いもあり、こうして里香は拓馬のマンションを訪れたのだった。
*****
拓馬の部屋は高層マンションの最上階にあり、夜景を一望できる素晴らしいロケーションだ。
こんないい部屋に住めるなんて、よほど彼は優秀なシステムエンジニアなのだろう。
ボロアパートで何とか生計を立てている自分とは大違いだと痛感し、思わず里香は面食らう。
”彼って本当に、雲の上の存在だわ…”
コンプレックスを刺激されている里香の胸中など露知らず、拓馬は彼女にソファへ腰かけるように勧め、ワインでもてなした。
彼の注いでくれたワインは芳醇な香りで、里香をウットリ酔わせる。
お酒で気分もほぐれてきたところで、拓馬の腕がそっと里香の肩に回され、それと同時に甘い口説き文句が始まった。
「俺、一目見た時から、里香ちゃんのこと、いいなって思ってたんだ」
久々の心トキめくシーンに胸が熱くなると同時に、里香はふと虚しさを覚える。
きっと拓馬は、このセリフを何人もの女性に囁いているのだろう。
今宵のターゲットは、たまたまそれが自分だったというわけだ。
だけど、普段、仕事に追われてばかりの自分にこんなロマンスは滅多にない。
どうせなら思い切って、遊びと割り切って楽しんでしまおう。
そう己に言い聞かせ、拓馬に返答する里香。
「ありがとう。私も拓馬さんのこと、好きよ」
酔いもあり、つい大胆になってしまう。
すると彼もまた、里香の瞳を見て、愛の言葉を述べる。
「俺も里香ちゃんが好きだよ」
ああ。この言葉が本気だったら、どれだけいいだろう?
セックス前のムード作りの一部だと思うと、自然と悲しくなる。
そんな彼女の胸の内も知らず、拓馬は彼女の唇にキスをした。
「ぴちゅぴちゅ…。里香ちゃん。すっごく可愛いよ…」
だが拓馬の舌が口内に侵入した途端、たちまち里香は官能の渦に飲みこまれる。
舌と舌が淫らに触れ合うディープキスがあまりに心地よく、切なさより快楽が勝ったのだ。
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