密室と目隠し~憧れの彼にハメられたお話~ (Page 2)
ゆっくりと近づいてくる人影が、次第にはっきりとする。
長身で、ちょっと腹が立つくらい長い脚。
暗闇でキレイな顔が浮き上がって、ドキッとする。
彼は瀬名裕也。
営業部に所属している男だ。
この見た目だけでも目を惹くのに、誰とでも距離が近いせいか、当たり前に女性人気が抜群だ。
事務をしている私とは、仕事上必要最低限しか関わりがないのに、何故か何かと声をかけてくる変な男だった。
もちろん素敵だなと思うし、密かに憧れている。
でも、なんとなく自分とは違う世界の人間に見えて、私はなるべく積極的に関わろうとはしなかった。
営業職ということもあり、いつもスマートに着こなされているはずのスーツのジャケットだが、今日は腕にかけられて、ワイシャツ姿だ。
ネクタイも緩んでいるせいか、随分印象が違う。
「…瀬名さん?」
「こんばんは、雪村さん」
「え、どうしてこんなところに…」
率直な疑問が口から零れると、瀬名さんは頬をポリポリとかく仕草をしながら言った。
「いや、ちょっとサボ…休憩してたら、いつの間にか」
「あー…そうなんですね」
(この人サボったりするんだ…)
そう思ったものの、特につっこむ気にもなれず、受け流す。
そんなことよりも早くここから出ることが重要だ。
「瀬名さん、警備室に連絡とれますか?私スマホを置いてきてしまって…」
「あ、そうですね…って、俺も持ってないんだった」
「えっ」
「デスクにスマホ置きっぱなしだったから、寝過ごしてこんな時間です」
あはは、と笑う瀬名さんに、思わず肩を落とす。
自分もスマホを持っていないのだから、責める道理もないのだが。
勝手に希望の光だと思ってしまった自分が悪い。
「困りましたね…」
そうぼやくと、瀬名さんは全く危機感のない様子で言った。
「ま、しっかり巡回してくれればそのうち誰か来るでしょう」
「俺の荷物も置きっぱなしだし」
「そうですね…」
そんな彼の様子に、私も諦めて息を吐いた。
非常灯だけの薄暗い空間に、沈黙が落ちる。
最高でした
彼と一緒に読みました
アイマスクをして立バックで頑張りました😅
次回作待ってまーす
真由美 さん 2025年6月29日