中国俳優はベッドで激しく私を愛する (Page 2)

「こっ…これって、あの俳優さんが…」

胸がいっぱいで最後まで言葉が続かない。
そんな私を見て、上司と先輩がさらにニヤニヤする。

そう…デスクに置かれた資料の表紙には私の推し俳優が出ている映画のタイトルがあって、なんと私は映画の宣伝に来る彼の通訳を担当することになったのだ!

周りの人たちに心臓の音が聞こえるんじゃないかと思うほど、私の鼓動は激しくドクンドクンと鳴っていて、頭に血が上っていく感じがする。

ふらつきそうになって、思わず自分の椅子の背もたれを咄嗟に掴むと、先輩が心配顔半分のおかしくてたまらないと言う顔で私を支えてくれた。

「ほら、しっかりしなさい。冷たい水でも飲んで仕事モードに頭を切り替えるのよ」

私を椅子に座らせると、先輩はプロフェッショナルな顔に戻り、ペットボトルの水をデスクに置いていってしまった。

うん…やっぱりベテラン通訳者は違う。先輩はこれまでにハリウッド俳優も担当したことがあるだけその後ろ姿には余裕が見られた。

そうよ!私の仕事は通訳者!仕事を全うしなければいけない!

そう私は自分に気合を入れ直して、先輩のように頭をすぐさまプロフェッショナルモードに切り替える。

それから、必要な資料を集めたり、相手側の関係者と連絡を取り合う。やることは山積みだ。
こうして、推し様…もとい『王浩然』の映画PR活動のために私は通訳者として準備を入念に行うのであった…。

*****

プロモーションの初顔合わせ当日。
いつもはのんびりと7時に起きる私が、自分でもびっくりの5時起きで、気付いたらゼラニウムの香るバスソルトたっぷりのお湯に浸かっていた。

仕事とはいえ、推しであることに違いない仕事相手と会うんだから、せめていい匂いでいたい…!
私の仕事まみれの人間臭い匂いなんて推し様に嗅がせるわけにはいかない!という謎の使命感に駆られる。(まぁ、もっともそんな近くに推し様が寄ってくるわけではないんですけどね)

私はお風呂上がりにバスソルトと同じ香りのボディクリームを塗りながら、ぼんやりとしてしまう。
自分の夢が叶う時って、人はもっと興奮状態に陥るものだと思っていたけれど、案外落ち着いているものなのね…。

髪を乾かし、スッキリと低めのポニーテールを結ぶ。
メイクは目元をハッキリとさせて、口紅は控えめのピンクベージュ。
お気に入りのパキッとした白シャツにベージュのパンツ、それからお揃いのベージュのジャケットを羽織れば仕事スタイルの完成だ。

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