目つきの悪いアイツが大嫌い (Page 4)

「ん、んんっ」

「呼吸しろよ、下手くそか」

「だって、いつ息吸えばいいのか…」

逃げる私を追い回していた唇を離し、勝生がじっと見つめる。

「何だよ、マジで下手くそなのか」

「キスは別にっ…こ、こういうちゃんとしたのはちょっと…」

「待ておい。まさか、ヤんのも初めてじゃねえよな」

「…」

「…え…何で…?」

何故か勝生の顔が真っ赤になっていく。

対して私は、ヤケ酒の勢いでラブホテルなんて場所に入った緊張と、苦しいくらいにされたディープキスのせいで頭の中がぐるぐるしていた。

「別に、は、初めてとか、どうでもいいじゃん」

「いいワケあるかバカが。…何、してんだよお前」

「…」

下手くそだの初めてだのと文句をつけてたのが嘘のように伺うような顔されて、プツンと何かが切れた。

「…だって、カナがエッチしたいって言うならしてもいいよって言ってきてさぁ」

「へ?」

「何でもかんでも、全部押し付けて楽な立場保とうとする男ってさあ!どんだけ卑怯なのよ!」

「お、おう」

「そんなんで付き合おうとか言わないでよ!」

込み上げるまま喚いた私に今度は勝生が引いていた。

「…おま、泣くなよ」

「泣いてない!」

ひっ、としゃくり上げてしまう背中を勝生が抱きしめて撫でてくれた。

「な、泣いてなっ、から!」

「わーったわーった。…別れて良かったよそんな男」

ひくひくしながらただ頷く。

「そっか」

さらにぎゅっと抱きしめられた。

悔し涙を流しながら、記憶にあるよりも太くなってるこいつの腕にふと、高校の頃を思い出した。

「俺の目つきが悪いのは今更直せないけどよ。優しくすっから」

その目つきの鋭さがイイって言う子も何人かいて、勝生の幼馴染である自分を睨みつけてくる美人の同級生を気にして勝生にそっけなくしていたら、お互いにどんどん口が悪くなっていった。

だけどそんなに気にしてたなんて。

ごめん、と告げるつもりで勝生の背中に腕を回した。

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