もう一度君と初恋の続きを

・作

高校の同窓会で10年振りに元カレと再会した瑠香。懐かしい声で呼ばれたら、付き合ってた頃の思い出が鮮やかによみがえる。「もう一回俺とやり直せないか」の言葉に心揺れる。遠距離恋愛で自然消滅だったけど今なら?初恋で初めての人ともう一度…

仕事の繁忙期がひと段落し、久しぶりの定時で帰れた今日。郵便受けを開けるとDMと共に

『同窓会のお知らせ』

が入っていた。高校の同窓会か。考えながら家の鍵を開ける。久しぶりに友達に会いたいし、別に何か都合が悪いわけではないけれど、もしかしたらがよぎる。

高校の時付き合ってた人がいた。いわゆる初恋の人ってやつである。大学進学で彼と私は遠距離恋愛を始めた。遠距離を甘く見ていた。

3日に1回はしていた電話がやがて月に1回になり、年に3回から4回になり…

いつからかもよく分からないうちに自然消滅。一応就職が決まった時メールを送ったけど、返事は来なかった。まあ、もともと筆不精だったから、返事も半分以上期待してなかったけど。

まあ来るとも限らないし、今どこにいるのか知らないけど。同級生と言っても8クラス320人いるし、会うとも限らないよね。
そんな軽い気持ちで出席に丸を付けた。

*****

そして同窓会当日。

「わー、久しぶりー、元気だった?」

「そっちこそ元気だったー?」

卒業以来あってなかった人や友達と思い出話に花が咲く。

「そーいえばさ、同窓会のはがきには出席ってきてたけど牧君いないね。瑠香はなんか聞いてない?」

「いや、ここ何年も連絡とってなくて。なんていうか、別れちゃったというか、遠距離でぶっちゃけよく分からないうちに自然消滅したというか…」

えーなどと口々に言いあっていたら急に背後から

「瑠香、久しぶり、元気だったか?」

「えっ、冬至。い、いたの?」

「今来たばっかり」

まさに今話題に上がっていた元カレだった。元カレ、牧冬至。もうかれこれ8年は会ってなかったけれど、最後に会った時より少し背が伸びている気がする。スーツ姿は初めて見たけど、思った以上にしっくり来ていた。最後見た時とちょっと変わっていたけど、笑顔には付き合ってた頃の面影がある。

「しばらく地方にいたんだけど、最近転勤でこっち戻ってきてさ。瑠香にも会いたかったし」

「…私の存在なんて忘れてると思ったよ」

「何で?忘れたことなかったよ?気がついたら別れてたけど」

やっぱり自然消滅で別れてたのか。他愛ない近況なんかを話していたら、お開きになり二次会はカラオケになったんだけど、

「俺らパスー」

「はっ?!」

私の手を引いて急にそんな事を言った。それを見た同級生がはやし立てる。それに冬至は笑ってまたなと軽く手をあげる。私は困惑で冬至の顔をじっと見た。

「せっかくだし飲みなおそうか」

「いいけど…」

懐かしさについ頷いてしまった。

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