罰は厳しくご褒美は甘く (Page 2)

そのペナルティーも2日に1回があったのが、5日に1回ぐらいになり、2週間に1回あるかどうかになった。そして今日は最長記録1ヶ月何事もなかった。
そして明日の連絡を聞いて終業後、要さんに呼び止められた。

「後で俺の部屋においで。場所は知ってるな」

「え、はい。知ってます。追加のお仕事ですか?」

「そうだな、そんなところだ」

急ぎじゃないとは言っていたけれど。また気がつかないうちになんかミスでもしたんだろうか?!せっかく最長記録を更新したのに。何させられるんだろう…。不安に襲われた。緊張気味に要さんの部屋のドアをノックする。

「し、失礼します、桜子です」

そう言って部屋に入ると、要さんは窓辺で煙草を吸っていた。煙草吸うんだ…。いつも要さんからは煙草の匂いがしないから知らなかった。

いつもは隙なく結ばれたネクタイは今は解かれていて、きっちりと留められているボタンも少し外していて、ジャケットも着ていない。トレードマークともいえる白い手袋を外していて、随分とラフな服装だった。

「あ、来たか。悪い、吸い終わるまで待ってて」

「はい…。煙草、吸うんですね」

「軽いやつを少し、部屋ならいいって許可もらって。最近高いからやめようと思ってるけど」

私も家族も煙草を吸う習慣がなくて、ちょっと興味があった。煙草からはちょっとだけ甘い匂いがしている。紫煙をくゆらせる要さんに聞いてみた。

「煙草ってどんな味なんですか?吸ったことなくて」

「表現が難しいな…」

手招きされたので近くによるとぐっと腕を掴まれて唇を塞がれた。薄く開いた唇から差し込まれた舌が絡められ、ほろ苦い味に舌が痺れた。

「どんな味?」

「ちょっと苦い…」

「桜子の口は甘いな」

そう言って、灰皿で煙草をもみ消す。要さんの仕草から目が離せなかった。掴んだままだった腕をさらに強く引かれ、要さんの胸に顔をうずめる形になる。離れようとすると抱きしめられた。

「最近の桜子はとても頑張っているとメイド長からも聞いてる。その頑張りにご褒美をあげようと思って」

そうささやかれて、ぱっと顔を上げる。要さんの瞳がとろけたように甘くなる。要さんは厳しいけど、その厳しさが優しさからきてることも知ってる。至らないところばかりだった私のこと見守ってくれていた。今の私があるのは要さんのおかげ。

「全部要さんのおかげです」

要さんは何も言わない。ちゃんと聞こえたか不安になり、もう一度要さんを見る。目が合う前にきつく抱きしめられた。

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