ワンナイトだけじゃ物足りないの (Page 2)

「可愛いよ、千波」

「あんっ隼人、もっと!」

「まったく欲しがりだな…」

もう何も考えられな…

がばりと起き上がった。あ、夢か…。びっくりした、またなんかやらかしたかと。夢というか、記憶がちょっと戻った?夢だと自分のこと俯瞰とかで見てることも多いけど、そうじゃなかったし。フラッシュバックってやつか。

どっちかというとあれ私から誘ったのでは…?

と思い至ったところで、トロッと何かがこぼれた気がして慌てて起き上がる。え、生理いつからだっけとトイレに駆け込んだところで頭を抱えた。

「もう本当にどうしよう…」

透明な蜜が零れ落ちていた。ちょっと思い出したくらいで滴るくらい濡れるとか。あれから5日。連絡は取っていない。このまんま一人考え込んでも仕方ないか…。

『ちょっと一度話したいんだけど、いい?』

SNSに短いメッセージを送るとすぐに既読が付いた。

『俺も話したかった。こっちは17時以降ならいつでも時間とるよ。日時も場所もそっちの都合で構わない』

『じゃあ、今週の金曜日。19時に駅前に。お店予約しておくから』

いい加減向き合わないと。あの後駅まで一緒にいたけど、ろくに話せなかった。頭が回りきってないっていうのもあったんだけど、本当に動揺してたんだと思う。友達関係すらなくなってしまうような何か決定的な言葉を聞くのが怖くて、私もあえて何も言わなかった。
急に冷たくなったり、よそよそしくなるやつじゃないってわかってる。でも、もしかしてが頭を離れなかった。

*****

「ごめん、待たせたか?」

「ううん、私が早く着きすぎただけ。個室風の居酒屋予約したけどいいよね」

「千波がいいなら、俺は構わないけど…」

全国チェーンの居酒屋だ。ただここの店舗は個室風が売りだった。お通しとお冷が運ばれ、タッチパネルでよく頼むものをタップする。
ウーロン茶に口を付ける。何から話せばいいのかわからず、頭の中で考えていた言葉のすべてが口から出る前に舌の上で溶けた。

「あの、ごめん!俺が悪かった!」

「え?あ、謝るべきはこっちで、その覚えてないけどっ!いや、それも申し訳ないし、もしかしたら私が誘ったんじゃとか…」

「違う、誘ったのもあのラブホ選んだのも俺だ。あんまり無防備に甘えてきたから。俺もかなり飲んでたとか言い訳になるとは思ってないけど。友達とそんなことなって千波を傷つけたかもと思ったらサイテー過ぎて自分が嫌になる」

私そんな本気で抵抗したか?さすがにそこまで意識はっきりしてたら覚えてるはずだ。確かにびっくりしたし、どうしようとは思った。動揺もそれなりにした。関係が壊れたらどうしようとは思ったけど、傷ついたとか嫌だったとかじゃなくて。

「傷ついたわけじゃないけど、責任取ってよ…」

合わせた目には困惑の二文字は見えなかった。

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