同窓会の罠 (Page 2)
「誘ってくれて、ありがとう。他の女子たちはまだかな?」
揃っていたメンバーを見渡すと、男子が7~8人で、女子は私だけだった。
「佐藤さんや渡辺さんがもうすぐ来ると思うよ。他にも何人か集まるはずだから、先に乾杯してよう!」
青山くんは奥の席をすすめながら言った。
よかった、彼女たちならわりと仲がよかったし、安心だ。
早く来ないかなあ…。
とりあえず、すすめられた席に座る。
すぐにテーブルにビールが置かれた。
店長の岡島くんが、ニッコリ笑って言った。
「今日は店のおごりだから、倉崎さん、ゆっくりしていって」
嬉しい!
地元は何もかもあたたかい。
青山くんが乾杯の音頭をとる。
「それじゃあ、3年1組の再会を祝って…特に今夜は倉崎さんのために。乾杯!」
「かんぱ~い!!!」
お酒は強い方ではないが、真夏の喉にビールは心地よかった。
両隣に座っていた男子たちが、話しかけてきた。
他にも入れ替わり立ち替わりメンバーが集まり、たくさん話をした。
今の生活、大学や職場での様子、好きなスポーツや趣味の話など、皆で盛り上がった。
私は二杯目以降は甘いカクテルにした。
ほろ酔い気分だった。
故郷はやはりリラックスできるし、楽しい。
大好きな鶏の唐揚げや魚の干物などでお腹もいっぱいだし、すっかり上機嫌になっていた。
*****
そろそろお開きという頃。
立ち上がった私は、予想以上に足元がおぼつかなく、自分でも驚いた。
気分は悪くなかったが、皆は心配してくれた。
店長の岡島くんが優しかった。
「店の上で休んでいけばいい。家も近いんだし、部屋で酔いをさましていきなよ」
青山くんが肩を貸してくれ、私はゆっくり階段を上った。
メンバーの大半は帰っていったが、岡島くん、松本くんが残り、烏龍茶や水のペットボトルを持って上がってきた。
店の上は畳の和室だった。
岡島くんがさっと枕とタオルケットを出してくれる。
「ありがと。あれ…そういえば、女の子たちは…?」
突然思い出して尋ねると、青山くんが申し訳なさそうに答えた。
「なんか、仕事が長引いたから行けないってメール来たんだ…倉崎さん盛り上がってたから言えなくて…ごめんね」
「そっか、ううん大丈夫だよ」
確かにおしゃべりに夢中で、あまり気にしていなかった。
「さあ、これからは酔いざまし大会だ~」
岡島くんが不思議なかけ声をかけると、そこにいた3人はコップに水をついだ。
私にも烏龍茶のコップがすすめられた。
「そういえばさ、今日は面白いものを持ってきたんだ」
松本くんが鞄の中をゴソゴソと探った。
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