甘い夜の始まり~溺愛エッチで眠れない~
氷剣と揶揄(やゆ)されるほど冷酷という、ライ王の元に政略結婚することになった、ローズ。愛のない結婚と諦めていたが、どこかほっとけないライ王に惹かれ、いつしか2人の間には、甘く濃密な空気が流れていく。
「顔を上げよ」
「はい、ライ王様…」
今日から私は、氷剣と言われ恐れられているライ王の妻となる。
歯向かう臣下には容赦なく剣を突き付け、王の座を巡っては、実の兄弟を手にかけたと噂されている。
女、子供だからといって手加減することもなく、王の邪魔となる者は、死か投獄が待っているらしい。
そんな血も涙もない男へと、この身を一生ささげるのかと思うと正直、怖い…。
でも、我が祖国のため、父や母のため腹を括るしかないのだ。
「妃よ、これは国同士の結婚である。そなたに構ってやれる暇はないが、この宮殿で自由に暮らすとよい」
「はい…承知いたしました」
これが、私たちの最初の出会いだった。
愛のない結婚…恐ろしい王…。
事務的な会話しかしていないけれど、ライ王の瞳はどこか悲しげで、寂しそうに見えた。
*****
ライ王の1日はとてつもなく忙しい。
朝食をとる暇もないくらいに。
嫁いできて1週間。
一緒に食事を食べることさえ叶わない。
いくら政略結婚とはいえ、この状況はさすがに寂しすぎる。
《ライ王政務室》
「陛下…ローズです。入ってもよろしいでしょうか?」
「構わぬ…入りなさい」
「食事も摂らずに働きづめでは、お身体を壊してしまいます!王であるあなたが倒れては、民に不安を与えてしまうでしょう?だから…朝食をお食べになってください!」
私は、顔色の悪いライ王の口元にパンを一切れ放り込んだ。
鳩が豆鉄砲を食らったように目をまん丸くさせている王を尻目に、私は次々と食事を王の口へと運んだ。
「忙しくて食べる時間もないようでしたら、私が毎日あーんして差し上げます!だから、きちんと食べてくださいね!」
「あぁ…わかった…そなたの言う通りだな。今後は気を付けよう」
私の気迫に圧されてか、王様は素直に応じてくれた。
私はそれが何だか嬉しくて、もっとライ王の色んな顔が知りたくなった。
少しずつ愛されていく様子がおお気に入りです!
この2人のその後の様子も見たいです!
❤︎ さん 2021年3月2日