数年前にケンカ別れをした彼と、同窓会で再会。私のことなんてもう忘れていると思ったのに、目が合った彼は… (Page 2)
「あ、あそこに湊くんがいるよ!」
耳打ちされて視線を送ると、たくさんの男友達に囲まれた湊くんがいた。
昔と変わらず、背が高くて姿勢がよかった。
ワイングラスを片手に、優しい笑顔を浮かべている。
私はいてもたってもいられなくなり、そっと会場を離れた。
トイレで溢れる涙を拭ってから、もう抜け出して帰ろうと思った時、ロビーに湊くんが立っていた。
「あ…」
「柚子」
懐かしい声で名前を呼ばれ、一気に過去の楽しかった記憶が呼び覚まされる。
私のことなんて、忘れていると思っていたのに。
目の前の彼は、とても嬉しそうに微笑んでいる。
「元気だったか?」
「うん…。湊くんは…?」
彼の名前を口にした瞬間、私の涙は洪水のように勢いよく流れ出した。
泣くつもりはなかったのに。
でも、本当は湊くんに会いたくて、会いたくて仕方なかったのだ。
「柚子、あの時はごめん」
「ううん…。私が、子供だったから」
「そんなことないよ。俺が、柚子の気持ちを大切にできなかったんだ」
そう言うと、彼は優しく私の身体を抱きしめる。
昔、何度も何度も抱き合って、深く吸い込んだ香りのままだった。
「俺、東京の本社に異動になったんだ。これからは、ずっとここにいる」
「えっ?」
私が驚いて顔を上げると、湊くんは優しい笑顔で頭を撫でてくれた。
「俺の部屋に、来る?」
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