教えて、何もかも… (Page 2)
同窓会はディナーバイキングだった。
受付を終えて会場に入ると、既に賑わっている。
周りを見回すと、懐かしい顔ぶれがちらほら見つかった。
10年ぶりだというのに、すぐにわかる。
すると、女子が5人ほど駆け寄ってきた。
「美雨、久しぶり!」
「わあ!すっかり綺麗になっちゃって!」
グループで仲良くしていた子たちだった。
「リエ、マユミ、…ユキ?サエコ、トモ!」
笑いながら、私たちは手を取り合った。
マユミがそっと耳打ちしてきた。
「藤本くん、来てるよ」
彼女が示した方を見ると…。
すっかり大人になった彼がいた。
精悍な顔立ちに、屈託のない笑顔はそのままだった。
胸が苦しくなり、涙がこぼれた。
*****
「澤村さん、俺、覚えてる?」
藤本くんが笑いながら声をかけてきた。
忘れるわけないじゃない!
と言いたい気持ちをおさえながら、笑顔で答えた。
「もちろん覚えてるよ…久しぶりだね」
「会えて嬉しいよ」
女子たちは気を利かせて消えていった。
食べるのもそこそこに、私たちは思い出話に花を咲かせた。
そして、お互いの卒業後の空白を埋めるように、たくさん話をした。
*****
同窓会は終わったが、なんとなく離れがたかった私たちは、会場を出たあと一緒に歩き続けた。
夜風に当たりながら散歩する二人。
まるで、初々しい中学生のデートのようだった。
幸せで胸がいっぱいだった。
この時間が永遠に続けばいい、とさえ思った。
でも、時は残酷だ。
私のマンションまで着いてしまった。
「夜道は危ないから送ってあげる」と言ってくれた藤本くんの、目的は達成してしまった。
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