弱みを握られた私が、やり手営業マンのペットになった話 (Page 7)
そこには、桐生に後ろから突かれてとろけた表情の私の姿が写っていた。
「まぁ、また撮ればいいか」
写真は無事に削除された。
「じゃあ、今度こそ帰りますね」
私は桐生に一礼すると、オフィスを出て行こうとした。
「ああ、待ってよ」
桐生が呼び止めてくる。振り返った私の唇に、柔らかいものが触れた。
「お疲れ様」
桐生はにっこり笑ってそう言った。私はさすがに頬が熱くなるのを感じながら、その場を走り去った。
(落ち着こう、ただのペットなんだから。私)
盛大にため息をついた。きっとこれからも理不尽な要求があるのだろう。それでも少しだけ、ときめいている自分がいた。
Fin.
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