私たちはお茶を飲むだけの関係

・作

同じ職場の同期である横山みのりと西川将太。二人は寒い日になると、決まって西川の家に行き熱いお茶を飲むのが習慣となっていた。しかしそれはただの言い訳で、本当は身体を重ねる日々。特に告白もないままそんな日々が続いたある日、二人の仲に進展が生まれる……。

「うち、寄ってく?」

同期の西川がそういう時は、決まって寒い日だ。

私たちの関係が始まったのは夏からだった。

確かあの日は、天気予報になかった雨が降ってきた日と記憶している。

突然の雨に降られて濡れてしまい、すっかり身体が冷えてしまった私、横山みのりと西川将太。

偶然にも西川の家が近いからということで上がらせてもらい、温かいお茶を飲んだのが始まりだった。

ファミリーレストランで、ホールスタッフとして働く私と料理人である西川。

同時期に入社し、しかも同い年ということですぐに意気投合した。

社会人になってからできる気の知れた男友達と感じていたんだけど、あの日から私たちは一転して男女の関係になった。

別に嫌だったわけではない。

あの時は身体が冷えていて、西川が寄り添ってくれて、それから雰囲気に流されて……。

好きという言葉もないまま、私たちは今までのように友達のような距離感でありながらも、寒い日には西川の家に上がってお茶を頂くという体で、身体を重ねる。

一体いつまでこんな言い訳を言い続けるのかわからない。

私も、自分の気持ちが一体どうなっているのか、わかる日が来ない。

「……やめとく?」

返事を待たせているからか、西川が催促してくる。

清潔感を保つために短く切り揃えられた髪の毛と、精悍な顔つき、がっしりとした身体。

正直なところ、ホールスタッフのバイトの女の子たちからも西川は人気だ。

男らしくもありながら、気さくに話せるところが好きだという子も少なくない。

もちろん私だって、そんな西川はいい男だと思っている。

「……お茶、飲みたいな」

私の返事に西川はホッとするような、少し緊張したような面持ちで頷いた。

そんな西川とお茶を飲むだけと言いながら、部屋に入ればすぐに一緒にシャワールームに入る癖がついてしまっている。

シャワーの熱いお湯を浴びながら、私たちはセックスを覚えたばかりの学生のように、すぐに繋がるのだ。

「あ……あっ、あ……」

「今日はちょっといい茶葉を買ってあるんだ。みのりもきっと気に入るよ」

壁に手をついて背を向ける私の耳元まで顔を寄せ、西川は少し低めの声で囁く。

この時だけ西川は私のことを下の名前で呼ぶ。

特に拒絶を示したことはないせいか、一緒に部屋にいる時だけ呼ぶ。

そのせいで私の下腹部がどれだけ疼いているのか、こいつは知らないんだろう。

「すごい乳首も起ってる」

西川は片手で私の肉芽を摘まみ、もう片手では貧相な私の胸の先を弄っていた。

くりくりと摘ままれる乳首は、すっかり西川の手でなければ感じないようになってしまった。

肉芽に関してもそうだ。

私の身体の快感は、今や全部西川でないともたらすことはできない。

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