サークル合宿で、みんなが寝静まったら…

・作

大学のサークル合宿で県外に行くことに。飲み会の後はそれぞれが雑魚寝をすることになり、私は周囲に内緒で付き合っている彼の隣でこっそり寝た。みんな酔いつぶれていたのですぐに寝てしまったんだけど、寝たふりをしていた彼が私にキスしてきて…。

夏休みに、大学のサークル合宿で県外に泊まりがけで行くことになった。

そこはとても空気が澄んでいる場所で、川を覗けば魚が泳いでいるような自然が豊かなところだ。

「いいところだな、未玖(みく)」

私が川から視線を移すと、陸(りく)くんが穏やかな笑顔を浮かべて立っていた。

「そうだね。都会とはまるで違って、すごくいいね」

「いつか、二人で来たいな」

陸くんの言葉に、私は頷く。

私たちは付き合っているけれど、それをサークルの仲間は誰も知らない。秘密にしなければならない理由はないのだけれど、公にしてからかわれるのはお互いになんとなく嫌だったのだ。

「さて、今夜のバーベキューで食べる野菜を収穫しに行こうか」

「うん」

合宿での最大の楽しみは、なんといってもバーベキューと飲み会だった。

宿泊するペンションの側にある農家の方から野菜を安く購入することができ、さらには収穫まで体験させてもらうことになっている。

その夜はみんながハメを外しまくり、ビールの空き缶がどんどん増えていった。

私はあまりお酒に強くないため、自分は飲まずに酔った友人たちの介抱に回ったりしていたが、サークルの部長である先輩にビールを注がれたため一杯だけ飲んだ。

その後、足元がおぼつかない中で片付けを済ませたものの、全員が用意されたベッドにたどり着けず、適当に雑魚寝を始めた。

「未玖、大丈夫か?飲みすぎたのか?」

陸くんが心配そうに私の顔を覗き込む。

「ううん。ビールを一杯だけだから、平気だよ」

「だけど、顔が赤いぞ?早く休め」

その時、起きているのは私たちだけだったので、どさくさに紛れて一緒に眠ることにした。

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