学生時代大好きだったあの人と飲み会で再会した夜
高校3年間ずっと好きだった男子と、社会人になってから飲み会で再会。え、私たちって両片思いだったの?知らなかった…でも、もう遅いよね。お互い、仲の良い異性がいるわけだし。そう思っていたのは、一瞬だった。だって、彼のことをまだ諦めきれていなかったから。
「いやーまさか飲み会で会えるとかびっくりだわ!」
「本当だよね~まさか同じ業界で働いてたなんてびっくりしちゃった」
今度一緒に仕事をすることになる人と飲むからと、上司に連れられて行った飲み会。
そこにいたのは、高校3年間片思いをしていた亮平君だった。
飲み会では全然話せなかったけど…。
私達は仕事の飲み会が終わった後、駅でばったり再会。
思い出話に花を咲かせた私たちは、飲み直そうと居酒屋へとやってきた。
「今回の仕事、俺めちゃくちゃ楽しみにしてたんだ!一緒にやることになるわけでしょ?ますます楽しみなんだけど」
「学生時代の同級生と仕事するって楽しみだよね!」
「それもあるんだけど…」
「何?」
さっきまでおどけていた亮平君の顔が、急に真剣になる。
「てか、やっぱり気付いてなかった?俺、高校3年間ずっと片思いしてたんだけど」
「誰に?」
「目の前にいる人」
「え…片思いをしてたのは私の方だよ?誰かから聞いたの?…あ」
なんてバカなんだろう。
思わず、亮平君に片思いをしていたことを、言ってしまった。
二人で目を合わせると、笑みがこぼれる。
「うわマジか~俺たち、両片思いってやつだったのか?」
「今さら遅いのにね」
そう、もう遅い。
なぜなら、私には仲の良い同僚がいて、その人と付き合いそうな雰囲気になっているから。
飲み会の時に、亮平君のそばには可愛い女性がピッタリ寄り添っていた。
なんか甘酸っぱいなぁ、そう思って笑うと、視線に気づく。
それは、亮平君が真剣に私を見つめる目だった。
「マジで遅い?今付き合ってる人とかいる?」
「付き合っては、ないけど…」
「俺、彼女いない。てか、できれば付き合いたい。ずっと好きだった子と、こんな形で再会できるとか運命だと思うし」
胸がドキドキする。
何この急展開。
全然、気持ちが追いついていかない。
そりゃ高校3年間ずっと好きだった人だもの。
今も心のどこかに亮平君の存在がある。
亮平君を忘れたいと思って、マッチングアプリを始めたこともあった。
でも、でも…。
「あの、亮平君のそばに女の人、いたよね?同僚さんでしょ?なんか、すごく密着してたし…」
「あの人はいつもそうなんだよ、男にベタベタするタイプ。ちなみに、既婚者だから」
「えええそうなんだ…あの、でも、私今仲の良い男性がいて…」
「でも、付き合ってはないんでしょ?」
亮平君が私の手をそっと握る。
びっくりして、体がびくっと震えてしまった。
恥ずかしい…。
「やば、めっちゃ可愛いんだけど…」
「あ、あの…」
亮平君がまっすぐに私を見つめてくる。
「好きです、付き合ってください」
それは、間違いなく真剣な告白だった。
冗談なんかじゃない。
私の出した答えは…。
「は、はい…」
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