幽霊になった想い人に会社でとことん責め立てられることに。
私の好きな人は会社の先輩だけど、3ヶ月前に亡くなってしまった。だけど、49日をすぎても会社にいるのだけど…どうして?しかも私が見える人だと気づいて付いてきてしまったの。お昼前で人が少なくなってきた時、立花さんが私の体に触れ始めて、私は幽霊にイカされちゃう!
私は遥香。26歳です。
私には好きな人がいます。いや…正確には“いた”かな。
…だってその彼、立花桃也さんは3ヶ月前に亡くなったから。
帰宅中に横断歩道で信号無視の車に跳ねられ、即死状態だったらしい。
ただ同じ会社だっただけで、3歳年上の立花さんは別の部署の先輩。
会社の新入社員歓迎会で、ありきたりだけどお酒を無理に勧められて困っていたところを助けてくれたのが立花さんだった。
特別出世頭とかいうわけではないけど、癒し系の立花さんは、上司にも部下にも好かれていて、ピリピリとした部署をやわらかく変えてくれる人だった。
彼と話している時だけ、気難しい上層部の方々がやわらかく談笑する、なんてのは社内では有名な話です。
彼が亡くなって…お葬式でも死んだ事を悟って肩を落とす彼を目にして、49日も過ぎたからもう天国にいっていると思っていたんです。
思っていたんですよ。
だけど…どうして会社にいるの?
あ、私昔からそういうのが見えるんです。
会社のエントランスでキョロキョロして、私と目が合ってしまったと思ったらこちらに駆けてくるんです。
こういうのって、目を合わせるのダメなんだけど…ビックリして凝視してしまった…
だって知り合いだし、好きな人だし…
そりゃ驚いて見ちゃう。
「酒井さん、俺の事見えてるよね?よかった身近に見える人がいて!」
いやいや私は良くないです。
そばに居てくれて嬉しい気持ちもあるけど、後々のこと考えたら早く上に上がってもらわないと!
立花さんに応答せず横を通り過ぎたけど…私に声をかけながら後を追って来る立花さん。
仕方なしに、今は普段あまり使われない階段を使う。
皆3つあるエレベーターを使うから階段を使うのは健康を気にしている人だけ。
「立花さんはどうしてまだここにいるんですか?とっくに49日過ぎてますけど」
立花さんはのほほんとした顔で言う。
「んー…俺もよく分からないんだよね。特別何か気がかりなものも思い浮かばないんだ」
私はため息をつきながら自分の所属する部署のある4階を目指す。
「皆、目の前にいるのに誰とも話せもしないし気付かれることもないからさ。寂しかったんだ。酒井さんがいてくれてよかった」
ニコッと笑いながらそんな事を言われて、胸がキュッとなった。
…そうだよね。今まで普通に談笑してたのに、事故でいきなり誰とも接することができなくなったら寂しいし戸惑うのも当たり前だ。
私まで悲しくなったのだけど…どうして勤務中も私のそばを離れないの!?
ドキドキしました!
めちゃドキドキしました!社内で声の出せない状況での
ドキドキ(⸝⸝ฅ‐ฅ⸝⸝)すごい伝わってきてよかったです
Kurage さん 2024年7月12日