満員電車の中で上司と体が密着している中、彼の手が私のスカートの中に潜りこんできて…
普段は天然で可愛らしい上司が電車の中で見せる男の顔、香り…ドキドキしていると上司が突然私に痴漢行為を始めてしまう。周りに気づかれないように我慢するけれど、身動きがとれない状態だとまるで焦らされているように感じてしまう…。
「悟さん…」
「え、何」
まるでコントじゃないか。
「お探しの眼鏡は頭の上ですよ」
「あらぁ…本当」
私の先輩である悟さんは41歳バツイチ子持ち。
珍しく男性側が親権を持っていて、男手一つで子供を2人育てている辺りはすごいなぁと思うのだけれど…。
「もう、しっかりしてくださいよ」
「あはは…結衣ちゃんありがとう」
悟さんはちょっと…いや、かなり抜けている。
もう大学生になる息子さんがしっかりしているおかげで毎日生きていると言っても過言ではない。
「今日電車でしたよね、新規のお宅」
「そうそう。電車久しぶりよ、俺。混んだら嫌だなァ」
やる気なさそうに力なく笑う悟さん…頼りないけどこの緩い感じが私は好き。
「予想通り混んでますね」
「うう…きつ…」
先方のお宅に向かう途中の電車は、悟さんの願い虚しく、通勤ラッシュほどではないが立っているのもやっとぐらいの混み具合。
「結衣ちゃん、辛くなったら言ってね」
「あ、はい…」
なるべく私が苦しくないよう、私をさりげなく窓際に立たせてくれる。
身長も私とさほど変わらないし、別に鍛えているわけでもないので力もそんなにはない。
だけど、普段はのほほんな悟さんの時折見せる男らしさも私は好きなのだ。
「結衣ちゃん、どうしたの」
駄目だ、くらくらする。
満員電車のおかげで密着する私と悟さん。
いつもならふわっと香る悟さんの香りが、今日は近くて、私の体を包んでしまう。
「顔赤いよ、熱でもあるんじゃ…」
「ひゃっ……」
悟さんの手が私の額に触れた途端、自分でも驚くぐらいに体が反応してしまった。
変な声が出てしまって、悟さんをはじめ、私の周りにいる乗客が驚いてこっちを見る。
「ご、ごめんなさい…びっくりしちゃって…」
「あ、いや………」
私が変に反応してしまったので、悟さんと私の間に気まずい空気が流れてしまう。
「結衣ちゃん、大丈…わ、わわわ…っ」
「あ…っ」
その瞬間、大きく電車が揺れ、大勢の人達が私側に傾く。
悟さんが私も守ろうと踏ん張ってくれたのだけど、それもむなしく私と悟さんは電車の扉に押しつけられた。
「ご、ごめん…あの…」
防御する間もなく扉側に押しやられた私達の体が、ぴたりと密着している。
頼りなさげな上司が…ギャップ萌えしました。
匿名 さん 2020年3月25日