私たちはお茶を飲むだけの関係 (Page 3)
答えを聞くのが怖くて、マグカップの中を覗き込む。
湯気の向こうに見える水面には、不安そうな顔をした女が一人、映っていた。
西川からの返事はない。
言うべきではなかったな、と謝罪の言葉が口から出る前に、西川は私のマグカップを取り上げた。
「あ、ちょっと」
「もしかして、お前とこうしてることに浮かれて喜んでるのって俺だけ?」
困ったように眉をひそめて、西川は言う。
「俺、みのりのこと好きなんだけど」
あっさりと聞きたかった言葉が、西川の口から出てきた。
あまりにもさらりと言われてしまったことに驚き、咄嗟の返事ができない。
西川はマグカップをテーブルに置くと、私をそのままベッドへ押し倒した。
「あ、待って西川……」
「好きだ、みのり」
真っすぐに見つめられ、顔に熱が集まるのを感じる。
「なんで……もっと早くに言ってくれなかったの?」
「……ごめん。みのりが何も言わないから、同じ気持ちなんだと勝手に思ってた。もし違うっていうなら、謝るし、二度と誘わない」
しっかりと捉えられた眼差しに、私はそんなことないと伝える。
「嬉しいよ……私だって、西川のことが、す……」
ようやくわかった自分の気持ちを言おうとしたのに、言う前に西川に唇を塞がれてしまった。
温かいお茶を飲んだばかりで熱くなっている舌が、気持ちいい。
「ん……ふ、んう……」
苦しくて西川の胸を叩くと、西川はようやく唇を離す。
「みのり……えっちしながら、聞かせてほしい。みのりの気持ち」
「えっ、でも……ひっ、やあっ!」
突然先ほどまで西川が収まっていた私のあそこに指を入れられ、甲高い声が出てしまう。
「で、も、お茶……冷めちゃうよ」
西川の首に腕を回しながら言うと、西川はふ、と笑った。
「大丈夫。冷めたら淹れなおすよ。だって、俺たちはもうお茶を飲むだけの関係じゃないだろ?」
「……バカ」
もう一度私の中に入ってくる西川の熱い塊を感じながら、私は涙を流す。
受け入れながら私は、改めて伝えた。
「好きだよ、将太」
彼の家に来る理由は、もうお茶を頂くことだけが理由ではない。
Fin.
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