雨の日の足音 (Page 4)

自分の体が、ふわりと浮く感覚になり、反射的に目を開けた。

人間の姿の彼が、机に突っ伏して寝てしまった私を抱えて、ベッドに下ろそうとしているところだったのだ。

彼は、もう我慢ができない、と訴えかけるように、荒々しく私のブラウスのボタンに手をかけ、一つ一つ上から外してゆく。

深い茶色の目には、いつもと違う焦燥感、悲壮感が漂っていた。

「どうしたの?何かあったの?」

そう問いかけた唇も、顎を掴まれて強制的に上を向かされ、塞がれる。

いつもより激しいキスに、酸素が薄くなるのを感じ、私は鼻からいつも以上に空気を吸い込んだ。

「苦しい、苦しいよ、ネロッ…」

彼は唇を離し、自身の指を二本口に含むと、その指を今度は私の口の中へと運ぶ。

口内を彼の指がなぞり、私が弱い口の上天井の部分をゆるりとなぞった。体が震え、思わず彼の腕を掴む。

彼は、その様子を楽しそうに見下ろして、妖艶な笑みを浮かべてそのまま指を引き抜き、その指を舐めた。

なんていやらしいのだろう、いつも彼はそうやって余裕な表情で私を虐めるのだ。

悔しい気持ちと、私だって彼を翻弄したいという気持ちが湧き出て、私は彼の下半身に手を伸ばした。

彼の太ももに触れると、びくりと驚いた様子で彼が動きを止める。

私はそのまま起き上がり、彼と逆転した体勢になり、太ももの間に体を入れると屈んで彼の太腿にキスを落とした。

太もも、おしり、腹筋、胸筋、首筋、上へ行き、下へ行き、次々とキスを降らせていく。

彼はまるで初めてされることのように、どの場所でも私の唇が触れる瞬間に気持ちよさそうに、ふ、と口から息を漏らした。

そしてひとしきりのキスの嵐の後、興奮でそそり立つ彼自身に触れると、先端からはぬるりとした汁が垂れていた。

舌を這わせると、少し苦い、男らしい匂いが鼻腔をくすぐる。

口に含むと、その苦味が口内に広がり、吸い上げると、彼自身もより一層硬く反応する。

さっきまで荒々しく私を襲おうとしていた彼が、今度は私の手と口で翻弄されているのを見ると、胸がキュッと締め付けられた。

私は、彼をもっと気持ちよく癒してあげたいと言う一心で、夢中に彼を舐め上げた。

なぞるように、むさぼるように、吸い上げ、往復し、時には止めて、彼の目を見ながら彼の気持ちがよいと反応するところを執拗に責め立てる。

室内には、私が彼を舐め上げる水音と、彼が我慢できずに漏らす息遣いだけが静かに響いた。

官能的なBGMに、触らなくても私自身が欲情し、濡れているのだ。

その様子に彼が気づいたのか、彼は私の動きを制すると、そのまま私の腰を掴み、ベッドに手をつくように四つん這いにさせた。

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