雨の日の足音 (Page 2)
彼の手は温かく、そしてしっとりとしていて滑らかな感触。
「これ以上は、ダメだよ、ネロッ…」
ソフトタッチで触れられると、私の体は意に反してびくりと跳ねた。
彼は私の両手首を束ね上げ、そのまま頭の上に押し付けると、上のスウェットを躊躇なく捲り上げ、舌を這わせる。
舌の動きに呼応するように、私の体はモゾモゾと動いたり、跳ねたり。その度にベッドの布が擦れて音を立てていた。
「う、あぁっ…」
膨らみに手が伸びる。柔らかさと弾力さを楽しむように、彼は揉みしだく。先端は既に硬くなっていた。
私は夢なのか、現実なのか信じがたい出来事ということもあって、既に抵抗する気力もなくし、快感に身を預けていた。
その様子を見透かされたのか、彼はお腹にキスを落とすと、そのままスウェットのズボンに手をかけ、下着と一緒にずるりと引き下ろした。
そして、茂みに沿って指を滑らせ、ゆっくりと襞をなぞる。
「あぁッ…!」
私はベッドのシーツを掴むと、これからより一層与えられる快感を期待して、彼の目を見た。
彼は、私の目を見つめ返し、指をゆっくりと蜜壺の中に押し入れ、その上の突起に舌を這わせる。
恥ずかしさと、快感で必死に脚を閉じようとするが、彼はそれをお構いなしに片手で制した。
突起を吸い上げられる度に体が強張り、蜜が溢れ出る。それを彼は指に絡め、弱い部分を執拗に責め立てた。
「あぁっ…ダメ、イク!」
私が達した時には、彼自身も昂っていて、力なく垂れた私の両脚を抱えると、そのまま奥深くへとゆっくりと進入した。
苦しさと切なさがこみ上げ、彼の首に両手を絡める。
彼はそれに応えるように、私の体を強く抱きしめると、欲望のまま腰を打ちつけた。
ベッドが規則的に軋む音と、私の喘ぎ声と、彼の息遣いが重なって、ワンルームの狭い部屋に響きわたる。
私が何度も達した頃に、彼も私の中でより律動を早め、白濁をお腹に吐き出したのだった。
目を開けると、視界に入った時計の針は、午後4時をさしていた。
先ほどまであった大きな温もりがないことに気づき、辺りを見回すと、足元のタオルケットからモゾモゾと黒い塊が顔を出した。
一体何が起こったというのだろうか?
昨日拾った黒猫が、人間になって私を先ほどまで抱いていた、と一体誰が信じるだろうか?
その綺麗な黒猫は、私が昨晩風呂に入れ、綺麗に体を洗い温め寝かせたつもりだった。
それは、私の最愛だった猫に酷似していた。
あまりにも艶やかな深い黒色の体をしていたから、イタリア語で黒い、と意味するネロと名付けたのだ。
彼は甘えた声で鳴き、すりすりと私の胸元に顔を押し付けた。
お腹がすいたんだね。私はそう彼に声をかけると、近くに置いてあったパーカーを羽織り、台所に向かった。
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