大嫌いなイケメンのカフェ店長に強引に迫られて溺れた夜

・作

柚葉は、黒うさぎの秘密パーティーがコンセプトの地雷系アパレルショップの店長。向かいにあるカフェの店長である玲生のせいで、バイトがみんな辞めてしまうので、連日通しシフト休日なしの過労死寸前の日々を送っている。ある日、玲生に食事に誘われ、お互いの利益のためにつき合っている振りをしようと提案されて…。

ト、トイレ…。

助けて、漏れるっ…。

店内では、学校帰りと思われる学生のお客様が、セール品のラックに掛かった、若草色のヨーク襟ブラウスを真剣な表情でチェックしている。

シフトに入っているのは店長である私ひとりなので、お客様が店内にいる間はトイレにすら行けない。

うっ、早くっ…。

買うか店を出るかどっちかに…。

と、思いながらも、笑顔を絶やさず優しく見守る。

色が微妙なのはよくわかる。ちなみにモノトーンは即完売だった。

ふと、誰かに見られているような気がして、店の外を見ると、カフェのカウンター内にいる玲生くんと目が合った。

くっ…今日も爽やかなイケメン面しやがって、許せねぇ。

怒りがふつふつと込み上げてきて、膀胱を刺激し、笑顔が引き攣る。

私が休日返上、ほぼ毎日通し勤務のワンオペで店を回しているのは、玲生くんのせいなのだ。

お客様が黒うさぎのぬいぐるみポーチを持ってレジカウンターに近づいて来たので、冷や汗をかきながら会計し、トイレにダッシュした。

私は、繁華街にあるファッションビル内のアパレルショップで働いている。

黒うさぎの秘密パーティーがコンセプトの地雷系のお洋服を揃えた店で、私の今日のコーデは大きなボウタイ結びのブラウスと、裾フリルスカート。足元は膝上丈の網タイツにストラップシューズを合わせている。

洋服好きが高じてバイトから社員になり、今では店長として店を切り盛りしている。

うちの店の向かいには、老舗のイタリアンレストランが出している小さなカフェがあり、買い物客にもスタッフにも人気がある。

このカフェの前の店長は白髪混じりの気のいいイケおじだったので、私もバイトの子たちもメニューのすべてを把握しているほど、入り浸っていた。

でも、イケおじ店長は本店に戻ってしまい、後釜に玲生くんがやってきた。

それが問題の始まりだった。

*****

「柚葉さん…お疲れのようだから…ラテでよかったですよね」

「ふあっ?」

他店からの応援スタッフが来てくれたので休憩に入り、カフェのテーブルに突っ伏して意識を失っていた。

玲生くんは、俺超かっこいいだろ、その上こんなに優しいんだぜ、どうだ参ったか、って感じに微笑んでいる。

ああ、ほんっとうに大っ嫌い。

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