力強く繊細な指でもう一度愛を奏でて (Page 2)

夫の上司だった慎吾さんは、日本の本社から来た駐在員で、妻の香織との間に2歳の子供がいた。

香織は華やかな雰囲気の美人で、未就学児を持つ日本人女性のグループの中心だった。

何かと夫の自慢が多い苦手なタイプではあったけど、上手くやっていたつもりだった。

それなのに、少しづつ、私だけが誘われなかったランチや休日の遠出の話を耳にすることが増え、私は孤立していった。

夫は、仕事や飲み会と称して家を空けることが多くなった。

私にとって、閉鎖的で息苦しい場所は、夫にとっては、輝くような若さを持てあます女の子達が、開放的なバカンスを求めてやってくるところだった。

夫の行動は噂となって、嫌でも私の耳に入ってきた。

*****

夕日が海岸線をオレンジ色に染める。

その学校と、海辺のゲストハウスにピアノがあることは、グループ内の誰かから聞いた。

子供の時からずっとピアノを習っていて、ピアニストになるのが夢だった。

そこまでの才能はなく、夢は諦めても、ピアノを弾くのは止めなかった。

実家を出てからも、留学中も、ピアノのある貸しスタジオを見つけて、定期的に弾いていた。

ピアノが弾けると思ったら、矢も盾もたまらず、週に一回のお手伝いさんが来る水曜日を待って、その学校へ行った。

事務室に行くと、放課後誰も使っていなければいつでも弾いていいと言われ、音楽室の場所を教えてもらった。

コンクリを打っただけの通路を歩いていくと、ピアノの音が聞こえてきた。

高音の速いトリルと、繰り返すごとに繊細に蘇る主題の旋律が印象的な、ピアノを弾く人なら誰もが憧れる有名な難曲。

ピアノを探すのにすら苦労するようなところで、ここまで弾ける人がいることに驚きながら、ドアの前でうっとりと聴き惚れていた。

激しく低音を鳴らす嵐のようなコーダは、弾く人の表現力が如実に現れるところで、力強さと繊細さの絶妙なバランスに心を奪われた。

曲が終わり、そっとドアを開けると、慎吾さんがピアノの前に座っていた。

「仕事さぼってるのがバレちゃった。まあ、遅い昼休みって言えなくもないけど。でも、ご主人には内緒ね」

慎吾さんはそう言うと人差し指を唇に当て、片目をつぶって見せた。

香織からさんざん自慢話を聞かされていたのと、夫と共に挨拶に行ったときの印象から、もっと自信過剰な鼻持ちならない男を想像していたので、拍子抜けした。

「…素晴らしい演奏でした」

「ありがとう。ところで菜々さんもピアノ弾くの?」

「はい。上手くはないですけど」

「弾いてみて」

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