私、もう子供じゃないから

・作

隣に住む4歳下の幼馴染は、いくつになっても俺の部屋に入り浸り、子供の頃と変わらない距離感で接してくる。男の部屋に2人きりだぞ?危機感はないのか!?こっちはもう、我慢の限界だっていうのに…。男は狼なんだってこと、思い知らせてやるよ…

ピンポーン。

家のチャイムが鳴る。
モニターに映るのは見慣れた笑顔。

「…なに」

「かずにぃの部屋でレポートやらせて!」

やっぱりな…。

「自分の部屋でやれよ…」

「だって1人だとダラけてできないんだもーん」

外で甘えた声を出すなよ…。

「わかった。入れよ」

「やったー!ありがとー!」

こうして美緒はいつも俺の部屋に入り浸る。

 

俺と美緒の家は隣同士、幼なじみだ。
俺のほうが4つ上だからか、昔から何かと甘えられ、懐かれていた。
部屋に来るのだっていつものこと、何も珍しいことではない。

 

一足先に思春期に入った俺は、美緒への気持ちに気付いたものの、美緒は相変わらず甘えてきた。

それからはできるだけ接触を避けてきたのに、美緒は相変わらず寄ってくる…俺の気も知らないで。

それが今でも続いている、というわけだ。

―――

「ねぇ、かずにぃ!聞いてた?」

「え?」

もちろん聞いていなかった。
この湧き上がる邪念を追い払うのに必死だ。

「てか、レポートやってねぇじゃん…」

いつの間にか美緒は俺の漫画を勝手に読んでいた。
それで話を振ってきていたらしい。

「ちゃんとやらなきゃ留年するぞ?」

「やるよぉ!そんな先生みたいなこと言わないでよ!」

美緒が頬をぷぅと膨らませる。

「俺は大人だからな、子供の監視はきちんとしなきゃ」

「もうっ!まーた子供扱いする!」

今度はぷんぷん怒り出した。
まぁ…怒った顔もかわいいけど。

「なんだ?もう子供じゃないとでも言うのか??」

からかったように言うと

「当たり前じゃん!もうハタチだよ!?立派な大人ですぅ!」

今まで我慢していた、俺の中の何かがプツンと音を立てて切れた。

「そうか、大人か。立派な大人なら、大人の男女が部屋に2人きりってのがどういう意味か、わかるよな?」

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