バイトくんのお見舞いに家まで行った時に (Page 6)

*****

あれから数日が経ちました。

体調が回復した龍一くんはバイトに復帰することになりました。あの日のことは、あれきりのことだとは思いつつも、顔を見るたび、声を聞くたびにお腹の奥が熱を帯びてしまうようになってしまいました。

配達をお願いするお重を龍一くんに渡そうとした、その時でした。

「じゃあ、香純さん。行ってきますね」

龍一くんが私の手を取って、あの時のように意地の悪い笑顔を向けてきたのです。

私は年甲斐もなく、自覚できるほど顔を赤くしてしまいました。まさかこんなに溺れてしまうとは。けれども何だか、悪くはない気分です。

Fin.

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