初めての快感、初めての関係
今夜も、お気に入りのバーへ向かった私。気になっている常連客の麻田さんが居ない。仕事のSOSメッセージが入り会社に戻ろうとドアに向かうと、突然マスターにキスをされ視界が真っ暗になった。頭痛で目が覚めると、キャンドルが灯る部屋で私は裸でベッドに横たわっている。「こんばんは」ドアが開き、微笑みながら麻田さんが入ってきた。
今夜は、どんなカクテル頼もうかな…。
仕事を終えた私は、いつもの道を通り過ぎて、お気に入りの場所へ向かった。
バーが近づくと自然と微笑がこぼれ、ヒールを鳴らしビルの階段を降りていった。
煩わしいことは階段に置いて、重い扉を開けた。
「あれ?」
自然と出た言葉が幼稚に思え、うつむいた。
いつもの席に、麻田さんが居ない。
マフラーの中でため息をついて外しながら、私はいつも座る席に向かった。
「こんばんは」
「いらっしゃいませ、平井様」
椅子に掛けようとしたコートのポケットが静かに動いている。
(そういえば今日の星座占い、最下位だったな…)
スマホを取り出すと、
『朝一で提出の書類が、まとまりません!』
指導している後輩からのSOSのメッセージだった。
(ああ…。何度も確認したのに…)
「マスターごめんなさい。仕事が入って…。また来ます」
「そうですか…。またのご来店、お待ちしております」
マスターは笑みを浮かべ、私が座っていたテーブルの前に置いたコースターを下げた。
私はスマホを握りコートを着ながら、後ろ髪引かれる思いで入口へ向かった。
「?!」
重厚なドアの前で、後ろから腕を引っ張られ、振り返ると、マスターが私の唇を奪った。
私が抵抗する前に、マスターは唇を離した。
口の中に、変な味が広がって、舌が痺れる。
「平井様…」
マスターの顔がぼやけていき、私の視界は真っ暗になった。
*****
目が覚めると、二日酔いのように身体がグラグラした。
「…え?何で?」
私は裸で大きなベッドの上にいる。
肌触りのいい黒いシーツをたぐり寄せ身体を覆いながら、ゆっくり起き上がった。
心地いい香りが鼻に入ってくる。
周りを見ると、大きさや長さが違うキャンドルが何個もあり、部屋を灯している。
(どこなんだろう…マスターにキスされてから記憶が…あ、仕事!服、私の服…)
ベッドを降りると、足がもつれて倒れ込んだ。
「こんばんは」
ドアが開き、麻田さんが微笑みながら入ってきた。
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