有紀の本営ちゃん日記~ホスト葵~ (Page 2)

「有紀、ごめん。ご飯は明日の朝でも良い?」
葵の申し訳なさそうな顔に、頷いた。

「仕事だから、仕方ないもん」
何度も繰り返した言葉。
そして何度も、自分に言い聞かせた言葉。

「有紀はお腹空いてないの?」
「私、作りながら紅茶淹れたら飲みすぎちゃって…」
食べる気になれないけど、紅茶を飲みすぎたのは嘘じゃない。
嘘をつかないけど、全部は言わない。
葵だってきっとそうだろう。

「有紀、おいで」
葵と手を繋いで寝室に移動する。

プールオムの香りが微かにした。
寝る時も香りを身にまとっているから、葵のベッドはいつも良い匂いがする。
葵がいない時でも、葵に包まれているみたいで好きだ。

「待たせてごめんね」
耳元で囁かれると、重かった心がスッと軽くなっていく。

「お仕事、お疲れ様」
とびっきりの笑顔で言う。
どんなに喧嘩をしても、辛いことがあっても。
1日の終わりに見せる顔は最高の笑顔が良い。

「有紀のお陰で今日も頑張れたよ、ありがとうね」
優しいキスの最中に、余計なことが気になる。

(シーツを取り換えておいて良かった。長い髪が落ちてたら、きっと萎えたよなぁ)
…こんなこと考える時点で、ちょっと萎えてるんだけど。

これのどこが奏汰君の言う「スパイス」なんだろう。
忘れたころに爆発する時限爆弾の様に、2人の時間の邪魔しかしないのに。

キスはやがて激しくなり、頭がボーッとする。
ふかふかのベッドに押し倒されて逃げ場がない。
貪るような葵の熱に、思考回路が奪われていくみたいだ。

「有紀、好きだよ」
今この瞬間に、葵に求められてるのは私。
その事実に胸が高鳴る。

「私も好きよ」
葵をギュッと抱きしめて離さない。
離してあげない。

チュッと音をたてながら、葵が乳房に吸い付いた。
「あぁっ」
強く吸われて思わずのけぞる。

「やっぱり有紀の肌は白いから目立つね」
葵の付けるキスマークは所有印の代わり。
「有紀が脱ぐ度に、俺を想い出すでしょ?」

キスマークを指でなぞりながら、反対の乳首を指で舌で弄ばれる。
「んっ…」
口がだらしなく開き、吐息だけではなく声が漏れてしまう。

「有紀、可愛い」
可愛いって何度も繰り返しながら、葵は色んな場所にキスマークを付ける。

「あんっ」
強い刺激にたまらず大きな声が出る。
「葵、痛い」
「ほら見て、こんなにクッキリ。俺以外の前で脱げないね」
葵が満足そうに指さした箇所は、確かに一段と濃く色付いていた。

それを見て胸の奥が熱くなる。
確かに痛かったのに。
葵のモノだって証が今は誇らしい。
それが、死ぬほど嬉しいのは言ってあげない。

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