寡黙なドクターは待てができない (Page 2)
「芽衣子」
病院から少し離れた地下駐車場。タタッと駆けていくと、黒のセダンタイプの車にもたれかかっていた南原先生が手を上げた。
「お疲れ様です、おまたせしてすみません」
「俺も今終わったところだから」
普段の鋭い視線はどこへやら、南原先生は優しげに目を細めると助手席のドアを開けてくれた。
お礼をいいながら乗り込むと、すぐに南原先生も運転席に座る。
彼は身を乗り出して、ギュッと私を抱き締めた。
「あぁ、芽衣子の匂いだ」
「夜勤明けだからやめてください」
「嫌だね」
「もう…」
南原先生は悪戯っぽく喉を鳴らして笑うと、顔を少しだけ右に傾けて私にキスをする。
いつもこの仕草が凄く色っぽくて、ドキドキと高鳴る心臓を隠しきれない。
「ふふっ、芽衣子の脈が早い」
「私の脈を取るのはやめてください」
「恥ずかしがる姿が可愛くて」
南原先生はそういいながらチュ、チュ、とリップ音を響かせて、私の顔にキスの雨を降らせた。
「早く触れたくて堪らなかった」
「そうは見えませんでした」
「わかっていないな。俺が勤務中、君にキスしたい衝動をどれだけ必死に抑えているか」
「それは、私も同じですよ?」
「芽衣子…」
綺麗な顔が、欲望にくしゃりと歪む。普段冷たいと噂される南原先生のこんな顔を見られるのは私だけだと思うと、堪らない気持ちになる。
「んっ…ダメです、南原先生」
「二人の時は何て呼ぶんだった?」
「…祥吾(ショウゴ)さん」
「そう。偉いね芽衣子」
祥吾さんの手が、私のブラウスの中に入ってくる。器用な彼の指先が、いとも簡単にパチンとブラのホックを外した。
グリッと強めに乳首をつねられて、私は思わず背中を仰け反らせた。
「祥吾さん、ここ車の中だからっ」
「知ってるよ?そんなこと」
「祥吾さんのお家に帰ってから…」
「無理。待てない」
「じゃあ、せめてホテルに」
「嫌だ。今すぐ芽衣子の中に入りたい」
頑ななくせに、声色は甘い。おねだりするみたいに頬擦りされると、強く拒めなくなってしまう。
「いい?芽衣子…」
私は半ば無意識に、コクンと小さく頷いた。
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