閉店後のエステサロンでオーナーと私は…

・作

ごく普通のOLである皆本絢子(あやこ)は、行きつけのサロンに緊張した声で予約の電話を掛けていた。目的はいつものエステでもマッサージでもなく「スペシャルデトックスコース」という特別メニュー。男性オーナーを指名できる秘密の施術、その実態はオーナーとの濃厚でえっちな時間とサービスで…

「はい、リラクゼーションサロン・ヴェリータでございます」
「あの…予約を、お願いしたいのですが」
「かしこまりました。会員証はお手元にございますでしょうか?」

電話口での案内に沿って、会員証番号と希望する施術のコース名を伝える。実に簡単なやり取りだが、私の心臓は緊張に震えて早鐘を打っていた。

「ス…スペシャルデトックスコースで」
「…少々、お待ちください」

受付スタッフのわずかな沈黙と、その直後から流れてきた保留メロディーの長さに、私の手のひらにはじわりと汗が滲み始める。

スペシャルデトックスコースは、いわば『裏メニュー』にあたる特殊な予約。普段はお店で施術を行わないオーナーを、特別に指名できる制度だった。

「皆本様、ご予約可能なお日にちですが…」

私は仕事の予定と照らし合わせて、来週末の夜に予約をお願いした。施術の開始時刻はサロン閉店後の21時半で、120分間のコースになる。

「当日は岩瀬が担当させていただきます。お気をつけて起こしくださいませ」

オーナー指名のコースを利用するのは、これが2回目。誰でも予約が可能というわけではなく、口外も固く禁止されている。1回目の施術のときを思い出すだけで私の全身は熱く火照り、甘い溜息が漏れてしまうのだった。

*****

「絢子さん、2回目のご予約ありがとうございます」

予約当日。凛としたテノールを響かせて、岩瀬オーナーが私を出迎えてくれた。そのまま連れ立ってサロンがあるフロアから1つ上階まで移動し、廊下を通り抜けて『Owner’s Room』と掲げられた扉の前へと向かう。

「では施術着に着替えていただいて。私は、あちらで準備を始めていますので」
「はい…宜しくお願いします」

鍵の掛かっていた重厚な扉の向こうには、机と書棚とソファだけの簡素な執務室があった。しかし私たちの目的はさらに奥、もう1枚の扉の先。隠し部屋のようなその場所にはサロンと全く同じ施術台があり、心地よい室温の中で馴染みあるアロマが焚かれていた。

「岩瀬…さん」
「では、こちらへ」

スペシャルデトックスコース、それは岩瀬さんから性的サービスを受けられる秘密の施術。数回ほどマッサージやエステを利用した後、店外で声を掛けられたのが始まりだった。

「ンッ…はぁ…」
「まずは体をほぐすところから…」

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