お隣のお兄ちゃんとは襲われてからセフレの関係です (Page 2)

ヒロ兄こと五代比呂さんは、いわゆるお隣さんである。

マンションで隣り合わせの部屋に暮らしている私達は、出会ってもう十年以上が経っていて、出会った当初は子供だった私も二十歳になり、ヒロ兄は二十八歳になる。

年の差は八歳。

両家とも両親が共働きで、家族間の仲が良かったせいもあるだろう。

ヒロ兄が友達と遊ぶことより、私といる時間を優先してくれたので、子供の頃の私達はいつも一緒にいた。

ヒロ兄が社会人になって、少し距離は開いてしまったけど、それでも変わらずにヒロ兄は私の兄貴分で、私はただの妹分…だったのに。

ある日、その関係はあっさりと変わってしまった。

*****

大学特有の長い夏休み中に、私は晴れて二十歳を迎えた。

そのお祝いをしてくれるというので、いつものようにヒロ兄の部屋へ遊びに行ったときのことである。

「ヒ、ロ兄…?」

「露子…ずっと、この日を待ってた」

明らかに雄の顔をしたヒロ兄に、いきなり押し倒された。

押し倒された先は、無防備に座ってしまったヒロ兄のベッドである。

「お前、二十歳にもなって男と二人っきりでベッドに座る意味わかってる?」

からかわれた、と思って、とっさにいい返そうと開いた唇は、あっさりヒロ兄の唇によって塞がれた。

まさしく奪うような、という荒々しいキスに、性経験ゼロといっても過言ではない私はすぐに翻弄(ほんろう)されてしまう。

眼前に広がるヒロ兄の端正な顔に、思わず怖じ気づいて目を閉じる。

すると、口の中の感触や水音がやたら気になるようになり、濃厚すぎるファーストキスに、涙がにじんだ。

強引に舌を絡められ、ぬるぬるとした粘膜の接触に目眩がする。

味なんて、わからなかった。

「本当は十六歳になったときにこうしたかったんだけど、ダメだっていわれて。でも、法律的にも大人になったんだから、いいよね?」

ダメだって…誰に?

息も絶え絶えで聞くことなんてできなかった。

唾液が繋がったまま笑ったヒロ兄の手が、私の剥き出しになった太ももをさわさわ撫でる。

幼馴染でお隣さん、という気安さで、私が着ているのは部屋着にしているショートパンツだった。

怖くて、逃げ出したいと思ってるくせに、期待してじゅくんっと愛蜜が溢れるのがわかる。

本当は、こうして触れてほしかった。

他でもない、ヒロ兄に。

でも、ヒロ兄には彼女がいて――…。

朦朧(もうろう)とする私の脚を開かせたヒロ兄は、ショートパンツに手をかける。

人形のような作り物めいた顔のくせに、目だけは獲物を捕らえる肉食獣のような獰猛さを孕ませて、彼は私の顔を覗き込んだ。

「露子の処女、もらうよ」

静かな宣言に、私は最後まで拒絶しきることができなかった。

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