あなただけのハーブティーをお淹れします

・作

近所にある有名なハーブティー専門のお店。そこはお茶だけでなく、オーナーがイケメンなことでも有名だった。気になった私は、休日に立ち寄ってみることに。そこで私が頼んだのは、自分だけのためにブレンドされたオリジナルハーブティー。それを飲んだ私の体には徐々に異変が…。

私の住む街には、ある有名なお店がある。

ハーブティーを専門に扱うお店で、店内では淹れたての美味しいハーブティーを頂くことができるようだった。

そのお店が有名な理由はそれだけではない。

その店のオーナーがイケメンらしく、オーナー目的に通う女性も多いようだ。

また特別メニューであるオリジナルティーも有名で、それを頼むと自分の体調や精神状態に合わせて自分だけのハーブティーをブレンドしてくれるらしい。

私はまだその店に行ったことがなかった。

丁度仕事の疲れも溜まってきた頃だったため、1人で行ってみることにした。

*****

私は休日、少し足を伸ばしてそのお店の近くまでやってきた。

周りにもお店は並んでいるのに、何故だかそのお店の雰囲気だけ違うように感じる。

その不思議な雰囲気に惹き込まれるように私はゆっくりと扉を開いた。

「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ」

店内は薄暗く、静かだった。

しかしふんわりと漂ってくるハーブの香りや、暖かい照明のおかげで、その静けさがむしろ心地よく感じてくる。

私はオーナーに案内されるがまま、カウンター席へ座った。

(わ…噂通り、かっこいい…)

「メニューはこちらです。お決まりになったら声を掛けてください」

「あっ…はい!」

オーナーの顔は彫りが深く、髪や瞳も色素が薄いように感じる。

私の予想では、恐らく彼は異国の血が流れているのだろう。

日本人離れしたその美しい顔についつい見とれてしまう…。

さらにオーナーの声は低く、トーンも落ち着いていて、彼が言葉を発するたびに身体中に響いてくる。

私はあんまり見過ぎてはいけないと思い、慌てて渡されたメニューを眺める。

ペパーミント、ラベンダー、カモミール、ルイボス…見慣れたハーブティーの名前が並ぶ。

どれも魅力的だが、やっぱり1番気になるのはこの「あなたのためだけにお作りします」と書かれているオリジナルブレンドティーだ。

どんな物が出てくるのか分からないが、好奇心から私は頼んでみることにした。

「すみません…。このオリジナルブレンドティーでお願いします」

「オリジナルブレンドティーですね、承知いたしました。では貴方の体調や精神状態に合ったものを用意しますので、こちらのアンケートを記入して頂いてもよろしいでしょうか?簡単にで大丈夫ですので…」

「わかりました!」

アンケートには体調を確認する欄や、最近の睡眠時間などを記入する欄などがあった。

私は自分のことを改めて確認しながら記入する。

「書けました。お願いします…」

「ありがとうございます。では出来上がるまで少々お待ちください」

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