ベッドの中ではいじわるな騎士長様

・作

マリーローズと婚約者の騎士長レイルは、レイルが多忙すぎてゆっくり会うこともできませんが、その分会えた時には愛を深めあっています。いつも忙しく駆け回る騎士長様と、ちょっと意地っ張りで寂しがり屋のお嬢様のイチャラブ。

どんなに素敵な花が届いたって、傍にいてくれなきゃ意味がない。

どんなに綺麗なドレスを着たって、見せる人が居なきゃつまらない。

「早く帰ってこないかなぁ…」

2~3日に1度届く「お元気ですか?」ではじまる手紙と1輪の薔薇。

それだけが、彼女と婚約者である騎士長レイルを繋ぐ絆だった。

窓を見つめながら今日何度目かの大きなため息をついた。

「お嬢様、外から見えてしまいますよ」

侍女のサラの声に、慌てて顔をあげる。

「いいのよどうせ。今日もお戻りにならないんだわ」

思わず自分の口をついて出た言葉にハッとする。

(お仕事だもの仕方ないのよ。)

そう、お仕事だもの。

結婚を控えているのに月に数度も会えないのも。

2人きりの甘い時間を持てないのも。

「お仕事だから、仕方な…」

言いかけた瞬間、勢いよく部屋のドアがノックされた。

*****

「きゅっ急にお戻りになるなんて」

マリーローズはレイルに恨みがましい目を向ける。

「驚かせて申し訳ありません。国境付近にいた夜盗の件があらかた片付きまして」

「お手紙をくだされば良かったのに」

「そうですね…でも、1秒も無駄にしたくなかったので」

ニコリとレイルが笑うと、胸が高鳴る。

この笑顔に何度ごまかされて来ただろう。

(どんな思いで待っていたか…。)

言葉を飲み込むと、優しい沈黙が2人を包んだ。

やがて沈黙を破るようにレイルが伸ばした手は、マリーローズの髪に触れ、顔に触れ、何度も何度も愛おしむように優しく彼女に触れた。

「寂しい思いをさせて申し訳ないです」

少しだけ低くて良く通る声。

「お仕事ですし…仕方な…」

彼女の唇は、レイルのそれによって塞がれる。

何度も何度も繰り返される触れるようなキスはやがて情熱を増し、肩に入った力が抜け胸のもやもやが消えていく。

頭がボーッとして頬が熱い。

「僕の大切なお姫様、機嫌を直してくださいませんか」

レイルの囁きに、マリーローズは頬を赤く染めたまま頷いた。

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