ほろ苦い初体験は『上書き保存』
従兄弟の結婚式で再会した葵のほろ苦い初体験の相手、淳也。披露宴が始まる直前に、葵は淳也に声をかける。式場を後にしたふたりが向かったのは、このホテルの一室。大人の男性になった淳也と、あの頃よりも美しい葵。あの頃と変わったふたりは、初体験を上書きする。
遊んだ記憶のない従兄弟の結婚式場で、葵は視線を泳がせて人を探していた。
数10年振りに会う親戚の人たちに挨拶をしていると、背の高い若い男性を見つけ、葵はゆっくり近づいた。
「淳也くん?」
葵に声をかけられた男性は、驚いた様子で振り向いた。
「あ、葵さん、お久しぶりです」
あのときのように顔を紅潮させて葵を見つめている。
「覚えてくれてたんだ、嬉しいな」
葵は淳也に向かって小さく呟いた。
「ちょっと、いい?」
葵は淳也の返事も待たずに、式場の目立たないドアへ向かって行った。
披露宴は暗転し音楽が流れ始めている。
式場から姿を消した葵を追い、淳也は重いドアを開けて明るく照らされた廊下に出た。
廊下の柱にもたれている葵の腕を取ると、
「オレ、謝らないと、あのとき初めてで、オレ」
淳也は顔を紅潮させながら続きの言葉をいう前に、葵は言葉を重ねた。
「ねぇ、その思い出、上書きしようよ」
葵は淳也の手を取ると走りだし、エレベーターの前に来ると、下のボタンを押した。
エレベーターのドアが開くと、ふたりは人の波をぬって身体を滑り込ませた。
1階に着くと、淳也が葵の手を握りフロントに向かった。
淳也は葵の手に指を絡ませると、予約していた部屋を変更しチェックインした。
「ここで、いい?」
淳也は微笑むと、ふたりは再びエレベーターに行き上に向かった。
*****
部屋に入ると同時に、お互いの唇を奪うように激しいキスをしながら、今夜のための特別な服を脱がし合った。
「今日、シングルだったのに」
壁を触り入口の明かりをつけた淳也は下着姿になった葵を眺め、甘いため息をもらした。
「淳也くん、私」
壁のスイッチを探している葵の手を、淳也は壁に押しつけた。
「葵さん、イヤだったよね、明るいの」
葵の唇に舌を這わせると、淳也はゆっくりと唇を離し
「オレ見たいんだ、葵さんのこと」
淳也はベルトに手をかけると、葵の白い手が重なった。
葵は淳也のボトムのベルトを緩めてボタンを外しジッパーを下ろして、ひざまずくと、不安そうな表情を浮かべた。
初体験のとき、淳也の大きなペニスは、葵の秘部の途中までしか入らなかったことを思い出したからだ。
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