甘噛みを受けながら大きなあなたを受け入れる
真面目なOLの和歌子。翌日午前に大事なプレゼンを控えた夜。緊張をほぐし、深い眠りを求めてバイブレーターでの自慰行為に及ぶ。サイトで、えっちな漫画を読みながら。そこへ同じ社宅に住む同僚、永田から着信が入り…。
ヴ…ヴヴヴ…。左手に握ったバイブレーターを、膣内にゆっくりと沈めてゆく。
そして、カーテンの隙間から見える月を和歌子は眺める。
正円に近いその輝き。そのわずかな光を頼りに、右手に握ったスマートフォンで電子書籍を表示する。
少しオラオラな男性上司に、大人しいOLが強引に抱かれてしまう女性向け漫画。
ロングヘアーで細腰の女性。豊かな乳房が揺れ、その頂にガタイのよい男性の唇が吸いついている。
描かれている男性は和歌子の好みではないが、いたいけな女性の表情、反応は、和歌子の脚の間を発熱させ、濡らすのにじゅうぶんな材料である。
「アッ…ダメ…部長…こんなところで…」
吐息混じりの小声で、和歌子は漫画の主人公の女性の台詞を呟いてみる。
女性は、スーツ姿の男性に、誰もいない夜の会議室でテーブルに押し倒されている。
職場でなんて絶対イヤだな、本当にこんな強引な男に迫られたらぶっ飛ばしてやる、なんて思いつつも。和歌子は創作物の魔法に甘く包まれていく。
女性が着用するスーツは、スカートは捲れて皺になり、ブラウスのボタンも乱暴に三個目まで外されている。
そのブラウスから溢れんばかりのOLの胸は、いささか乱暴な部長の唾液に塗れている。
こんなに段取りよく行くかな、とぼやきつつ、和歌子が画面をスクロールする指は逸る。
コリッ。部長がOLの胸の頂きを甘噛みする。同様に、和歌子は己の乳首を右手の爪で弾く。一旦伏せたスマホの明かりがふっ、と消える。
「…ンッ…」
OLと同じように甘い声を漏らす和歌子。己の声とバイブレーターの音が静かな夜に大きく響く気がし、唇を噛んで堪える。
スマホを再度操作する。火照る和歌子の頬をスマホが照らす。
「誰も来ないよ」
部長はOLに伝え、ビビッとストッキングを引きちぎり、OLの太ももを舐める。そして、甘い蜜を秘めた下着に大きな手を這わせる。
ストッキング、素手で破るには結構大変なんだけど…。
元カレとの苦い失敗をクスリと思い出しながら、和歌子は己の秘所にゆっくりとバイブレーターを抜き差しする。
ヴヴヴ…。
「えっ?」
右脚と左脚の間からではなく、耳元でバイブの音がする。反射的に、和歌子はスマホの着信に応答してしまう。
「…ハッ…あっ…はぁん…もし…もし…?」
興奮する声を抑えきれずに発話してしまう和歌子。相手に気づかれませんように!と強く願う。
「藤沢?ゴメン、起こした?」
藤沢、と姓を呼ばれて和歌子は息を整える。着信の相手は同僚の永田だった。
長身に面長、素朴な印象の青年だが、チームリーダーとしての手腕は社内で信頼を置かれている。
和歌子は永田を勝手にライバル視しているが、永田はといえば、和歌子を尊重し何かと意見を求めてくる。
その人間性の高さも和歌子には少し面白くないポイントだ。
明日の午前、永田チームのプレゼンが控えている。和歌子の案も盛り込まれた大事な仕事だ。
素敵でした。
肝心なシーンのみならず、2人の会話からぎこちない関係や互いを大事に想う気持ちが伝わってきて良かったです。
ななし さん 2021年5月4日