生活に疲れたマンネリ夫婦が愛のこもったセックスを思い出す
子どもが産まれて、欲望や、愛を確かめるためにしていたセックスはただの性欲のはけ口になり、マンネリ化していた。出すだけで前戯もおろそかな夫が妻の何気ない一言で反省してタップリ愛のあるセックスをするお話。
「ぁっ、あン、ぅーーーっンっ」
「ーーーっ、もうイク!」
ドピューー…
規則正しいリズムで打たれていた快感もなくなり、膣の中にドクドク、と精子が放たれたのを感じる。
はあ、やっと終わった…。
ハァハァと息を切らしながらゆっくりとした動作で自身のモノを私の中から抜いていく夫。
私の上からさっと退いて、自分のパンツを持って無言でスタスタと部屋を出て行ってしまう。トントントン、と階段の降りる音がする。いつもセックスが終わればトイレに行くので、きっとそこだろう。
私も枕元に置いてある子ども用のお尻ふきでさっと自分の体をふき、さっさとその辺に放っておいたパンツやズボンをはく。
しばらくして、ガチャ、と扉の開く音と共に夫が戻ってきた。無言のまま自分のベッドへと入っていき、携帯でゲームを始めたようだった。
「…」
さっきまで、私たちはセックスをしていたのに、余韻も何もなく、日常に戻っていく。いつものことだが、終わった後は少し虚しく感じる。
私も特に何もいうこともなく、少し乱れた布団を整えてから入り直し、そのまま寝る体勢に入る。
少し離れたところから聞こえる子どもの寝息を聞きながら、すぐにウトウトとして寝入ってしまった。
*****
「おはよう」
目が覚めれば女や妻というよりは、一家の主婦であり、子どものママ。
洗濯を回し、朝食、お弁当を作って、グーグー寝ている夫と子どもを起こす。2人の身支度を手伝って、バタバタと朝の支度に追われる。
夫や子どもが出掛ければ、朝食の片付けや掃除、洗濯干しとすることはたくさん。
ゆっくりした時間もあまりないまま家事に追われ、日が暮れていく。お風呂や夕食を済ませ、子どもを寝かしつければ夫婦の時間だが、自分が「したい」となってきているとき以外はスマホでゲームか漫画。ダラダラとして眠たくなれば寝る、と、私が居ても居なくても関係ないという感じだ。
会話がないわけでも、夫婦仲が悪いわけでもないが、気が付けば「男と女」というよりは、「子どものパパとママ」「家族」という枠に収まっていた。
セックスだって、オナニーをするよりはせっかく私がいるのだからこっちでしよう、位の感じでしてくるから、おざなり。
てきとうに指を突っ込まれ、胸を揉まれ、「あんまり濡れないね」って、そんなんで感じるか!濡れねーよ!っていってやりたい。
そんな感じだとわかってはいるが、やっぱり求められれば嬉しいし、私にだって多少の性欲はあるので、いつも拒否せずに応じていた。
射精の…
ドピュー…って。笑ってしまいました。
その表現、すごく非現実的でギャグっぽいなぁ…と。
2回出て来ますが、「ドピュー」さえ無ければ仲良し夫婦のイイ話なのに、それがあるばかりにギャグに成り下がった印象。
た さん 2021年4月13日