綺麗になったお前が悪い~高校時代の元カノ~
石野聡は同窓会で、10年前の元カノと再会する。元カノのあかりは酒に酔ってしまい、我慢できなかった聡はあかりを衝動的にホテルに連れ込んでしまう。甘い夜を過ごす2人だったが、翌朝、聡はあかりと思ってもみない別れ方をすることになった。
(何で綺麗になってんだよ、ふざけんなよ)
俺は、心の中で悪態をついていた。
「…んぁあ…!さとる、くん…ひゃっ!」
俺の下で喘ぐのは、あかり。“昔は”大島あかりと呼ばれていた彼女。
(なんで若い時より、肌のさわり心地いいんだよ…。年取ったのにおかしいだろ。髪もさらさらだし…)
「んんんぅ…っ!」
彼女の真っ白な腹部を手のひら全体で撫でれば、たまらないとばかりの高い声。俺を欲情させるには十分すぎて、下半身の欲望ははちきれんばかりに膨れ上がる。
(エロすぎる)
反応が見たくて、白い首筋に舌を這わせてやる。ゆっくりとじっくりと、首筋から耳のふちや中を舌先で舐めあげた。
「はっ…んぅ…!」
すると彼女の身体は跳ねる。勿体ぶらせるようにして耳のふちを舌先で舐め、耳の入り口を唇で軽く挟む。
そこは、耳のクリトリスと呼ばれている場所だ。ソフトに触ってやると、彼女は快感に酔いしれる。
「ぁぁあ…!さとる君…むかしと、違ぅ…!」
俺はあかりの言葉に、僅かながらも苛立った。
(昔と違うのは、お前だよ)
過去に俺が付き合っていた17歳のあかりと、成熟した色気がある28歳のあかりでは全然違う。
俺の、初めての彼女。同級生だった2人は過去の恋人同士。
(全然、違う)
10年前には、あかりの左手の薬指に指輪なんてなかったのに。
*****
「あかりさぁ、まじ都会に染められちゃったねぇ〜昔はこんなんじゃなかったのに」
「ねぇ〜都会の男と結婚したからだよね?昔より色気づいててさぁ、人妻ってこんなんでいーわけ?」
「あのあかりがねぇ~?」
はいはい出ました、女子同士のマウンティング。高校時代の旧友であっても、いや、だからこそと言うべきか、女子のヒエラルキーは存在する。
「昔とは違う」というのは、昔は垢抜けていなかったと言いたいのだろう。都会の男と結婚したというのは、単なる妬みだ。あかりがね、というのも、単にあかりを馬鹿にしている。
「えへ…都会になんて、染まってないよ?色気づくなんて…皆のほうがだんぜん綺麗だよ〜」
3人のマウントハイエナ女子に囲まれている「あかり」は朗らかに笑う。彼女たちの悪意を鵜呑みになどしていない。
俺は隣の席から彼女たちを観察していたが、3人の女子が心中で舌打ちしたのが聞こえてくるようだった。
居酒屋の騒音の中でも、彼女たちの声はしっかりと耳に届く。15人以上が集まった同窓会だが、彼女たちの声が耳に届くのは、きっと俺があかりのことを気になって仕方ないからだろう。
「ほらあかり、もうグラス空いてるよ?すみませーん!生1つ!」
「えへへ…」
「なぁんであかりが結婚できたのかなー?待ってるタイプの女のほうが、やっぱ男ウケいいのかねー」
あかりは、きっとセーブしていたのだろう。もう生ビールの大ジョッキを三杯は飲ませられていた。顔は赤く、目がぼんやりしている。
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