深夜アルバイト先のコンビニにやってきた先輩に襲われて…
いつ誰が来るかもわからないコンビニの洗面所。扉を開けられてしまったら自分のあられもない姿が見られてしまう…。そう思うと余計に意識が膣内に向いてしまっていた。
「いらっしゃいませー」
あたしは伊織、単なるアルバイト店員。
何をするわけでもなく、刺激もなく、ただいつもと変わらずにコンビニ店員として客を迎え入れて送り出す。
ただ、それだけ。
「温めますか」
できることことならあたしの心を温めてください…なんて、しょうもないことを考える。
「いらっしゃいませー」
時刻はもう夜中3時をまわったころ。
本日の店番はあたしと少し暗目な性格をした女の先輩。
この時間帯になると客は少なく、若者がコンビニの前でたむろし、青春を謳歌しているぐらい。
そんな時、彼はやって来た…。
「いらっしゃいませー」
「…ん」
少し赤茶色い髪に、黒いTシャツ。
見た目はどこにでもいるような普通の男性だけど、どこか吸い込まれそうな眼をしている…。
好みかも…。
何も変わらない日常で訪れる一時の癒やし。
ただいつもとおりに仕事をこなしながら来店したイケメンを眺めて目の保養をする。
「あれ、もしかして伊織ちゃん」
「え…」
日常が変わる瞬間は、やけに普通だった。
どこかで見たことがあるのだろうか、こんな格好いい知り合いはいただろうか…。
はるか先まで思考を巡らせ、ようやく3年前の記憶にたどり着いた。
「あッ…拓也先輩ッ」
「おッ…俺のこと知ってんだ」
知らないわけがない。
彼、拓也先輩はあたしが卒業した高校の1年先輩で、高校で1番格好いいといわれていた男…。
「拓也先輩、この近くに住んでたんですね」
「そうそう、全然寝れねェから立ち読みにきたんだけど、まさか伊織ちゃんがここで働いてるとはなァ」
なぜあたしのことを知っているのか…。
推測だけど、拓也先輩のクラスの人とあたしが一時付き合っていたからだと思う。
というか、それ以外に共通点もないのでデフォルトでそういう結論にたどり着く。
「ちょっと見ねェ内に大人っぽくなったなァ。可愛いのは可愛いまんまだけど」
「そ、そんなことないですよッ」
クサい台詞も淡々と言ってのける。
それがまた嫌味でもキザったらしくもなく、むしろ似合ってしまうところが女性陣の心を掴んで離さないのだ。
「んな照れなくてもいいって、んじゃあ仕事頑張れよッ」
「は、はいッ」
久しぶりにバイト中に作り笑い以外で笑った気がする。
拓也先輩の香水の香りは、とても心地いいものだった…。
「はい、んじゃあこれお願いな」
「はい…あ…」
若い客が、しかも拓也先輩ならば買うのは別に普通のことだった。
だけどあたしのかすかな動揺に鋭い拓也先輩はすぐに気づいてしまう。
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