同じオフィスで働く彼と、ドキドキのおもちゃ入れっぱなしプレイ (Page 2)
「谷津さんさ、先月俺の仕事どんくらい手伝ってた?」
「え?」
「他にも、先輩同僚後輩問わずに、しれっと助けてくだろ。それも頼まれる前、気づかれる前に。そんなの、会社どころか誰にも評価されないやり方だろ」
これは正直、叱責されているのかと思った。
確かに目に付いた仕事で、誰がやっても構わないような雑用には、手を出しがちだったからだ。
だってそのほうが、罪悪感なく早く上がれるし。
それに、そんな大げさにいわれるようなことはしていない。
私が手を出せるのは、ただの資料作成やデータ調査など、地味にめんどくさい作業や、そういった仕事の前準備程度だ。あとはたまにお茶を淹れるくらい。
まあ、いわば誰がやっても構わないけど、めんどくさいから後に回しがちな仕事である。嫌なことに、こういう作業や仕事は、土壇場や定時間際で牙を剥いてくる。
連鎖反応でミスなんて起きれば、不快指数は上がるし、余計な仕事も増えるのだ。
だったら余裕があるときくらい、リスクヘッジしておきたいと思うのは当然じゃないのか。
別に高尚な精神でやっているわけでは…、と私が恐縮すると、佐古さんは怖い顔で詰め寄ってきた。美形というか好みの顔すぎて、もはや顔面の暴力である。
「それだけじゃないだろ。備品の補充とか、だれてきたタイミングでみんなに休憩入れさせるとか。そういう気遣いっていうか…みんな、結構谷津さんに救われてるんだぞ」
「そ、そんな大げさな…」
まさかの褒め殺しに泡食った私だが、佐古さんの真っ赤な顔を見て思わずたじろいでしまった。
大きな手で覆われた顔の下半分、指の隙間から見える頬や耳は熟れたリンゴのようで。
目元なんて潤んだようにキラキラしている。
頼れる先輩だった佐古さんが、初めて可愛く見えた。
「そんな君に俺だけが気づいたって思ったら、もう、他に取られたくないって考えても仕方ないだろ。よく笑うところも、実はちょっとズボラでよく寝癖が残ってるところも、メイクがあまり好きそうじゃないところも、誰にも気づかれてほしくないって思ってる…結構必死だよ、俺」
後半はわりと、私も誰にも気づかれたくないって思ってるところだけど…。
そんな私のダメなところまで、佐古さんはしっかりと見ていたらしい。
我ながらチョロいとは思うが、これで私は落ちてしまった。
実は、仕事を見ていてくれたことよりも、佐古さんの独占欲にキュンときたというのは内緒だ。
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