甘噛みを受けながら大きなあなたを受け入れる (Page 2)
「…ん…大丈夫。どうした?トラブル?」
さりげなく声を抑えて永田に確認しながら、バイブレーターの電源を切ろうとするも。こちらがトラブルだ。バイブレータの電源が切れない!
異物を膣に埋めるよりも、生身の男の性器を受け入れる方が和歌子は好きだ。
けれど眠れない夜に手っ取り早くイク方法として玩具での愛撫を選択している。特に翌朝に大事な案件を控えた夜は。
「ちょっと明日のプレゼン前に相談したいんだ。今から玄関先に寄ってもいいか?」
「えっ…げん、かん…」
永田の切迫した声に、和歌子は青ざめる。なぜなら、同じ社宅に住んでいるからだ。
和歌子は3階。5階建てのこの建物で、移動なんて難のないことだろう。
なのにまず、電話で打診してくる永田の紳士的要素に和歌子は信頼と羨望と嫉妬を憶える。
「藤沢の部屋がダメなら、俺の部屋でも。まだ少し肌寒いから、移動させるのも悪いと思って。どうかな?」
「あ、あーっ。うーん、お…お風呂に入っちゃった後なんだよね」
和歌子は、バイブレーターの音が永田の耳に届かないように、甘く蕩けぬようにと少し声を張る。
「湯冷めするよな、やっぱり眠るところだったか。わかった、俺が一人で仕上げてみるよ。ちょっと気になっただけだから」
「待って!」
永田にだけ手柄を取らすまいと、和歌子は声を挙げる。そして、すかさずバイブレーターを膣から抜く。
「私も責任持って全うしたいプレゼンだから。着替えて、パソコン起動して待機するから十分後に来て。」
「大丈夫?」
念を押す永田の声が優しい。こんなにマヌケなことになっている私なのに!と和歌子は反省しつつ、なんとか頭を仕事モードに切り替える。
「うん、大丈夫」
答えながらも全く大丈夫ではない現状をどうしようかと、床に転がるバイブレーターを和歌子は見つめる。
和歌子の愛液で濡れている、恥ずかしいほど。
「ありがと。後で」
永田の声に、和歌子の耳も甘く濡れているのだが。
そんなことに気づくゆとりもなく、振動し続けるバイブレーターをトイレットペーパーで何回も拭き取る。
バイブレーターをトイレの個室の角にタオルでぐるぐる巻きにし、投げこむ。
永田には、トイレを貸さなければいい。扉を閉めておけばバイブの音も漏れてこないはず。
脚の間の熱も冷めぬまま、溢れる愛液を拭き取り、和歌子はパジャマを脱ぎ捨て、脱衣籠からブラウスとスカートを取り出し着替える。
脱いだストッキングを、また履くのもな…と躊躇する和歌子の脳裏に、先程読んだ漫画でOLが部長に引き裂かれていた構図が浮かぶ。
「素足でいいか…素足で…自分の部屋だし」
声に出して言い訳をする。淫らな想いをかき消すように。
「あ!永田、私の部屋番号知らないよね」
慌てる和歌子のスマホに、永田からメール着信。
「表札みた。307号室。合ってる?」
素敵でした。
肝心なシーンのみならず、2人の会話からぎこちない関係や互いを大事に想う気持ちが伝わってきて良かったです。
ななし さん 2021年5月4日