無条件幸福 (Page 4)
「起きちゃった…?葵…?」
柚香ではなく、石野さんが私を葵、と呼んでいる。そんな夢の中にまだいたくて。
「ん…ぅうん…」
と私は下手な芝居でやり過ごす。
「お水飲むか、葵?」
コクリ。寝惚けています!と言い訳しながら頷く。ベッドのサイドボードにはミネラルウォーターのペットボトル。それを口に含むと。石野さんは、私の唇に注ぎ込む。硬い唇が熱く、そしてベッドからも石野さんの香りがして、私は溶けてしまいそうになる。
「あ、暴走。抜け駆け」
柚香の悪戯な声。
「しませんよ、双葉さんと柚はベッド使って。俺はソファを使うから」
「へぇー眠れます?たぶん今眠れるの、葵だけですよ」
いえいえ柚香サン、私も眠れていませんから!
「ふふ、可愛い、葵」
ベッドの左隣に滑り込んできた柚香は、私の唇を舌で舐める。
「見せつけるなぁ…」
少し掠れた石野さんの声。
「せっかく、恭介さんにも機会を与えてあげたのに。いいんですか?葵、いただいちゃいますよ?」
ブランデーだろうか。べっとりとした甘さが柚香の唇から私の唇に染みる。グロスが乱される、程度ではなかった。つい、息が荒くなってしまう。
「ア…はぁっ…」
柚香は、女の子なのに。女の子の唇なのに。私は冷静にそれを受け止めている。己の舌ではっきりと、深く迎え入れてしまっている自覚がある。どうしよう、友達なのに。
「あ…ン…葵。苦しい?」
ちゅ…チュ…。唇を啄むような優しいキスに変わる。柚香の甘い香りと、石野さんのベッドからの男性の香りに包まれて、私の脚の間が淫らな熱を帯びていく。
「ストッキング、俺が脱がせようか?」
石野さんの提案。私をしっとりと濡らす声。柚香がにっこりと待ち受けるのがわかる。
「楽にしてあげてください。色々と」
私の脚の爪先が熱に包まれる。石野さんの口に含まれている…!羞恥に私は脚の間にぎゅっと力を込める。それを男の人の力は許さずに、開かせたまま、右脚のふくらはぎ、太ももと。石野さんの舌が這う。私の下着すれすれまで。
「ん…っ、ア…あ…ン…ああっ…!」
思わず声を上げてしまう。ストッキングと下着越しに、陰部を舐めあげられてしまう。
「ううっ…う…嘘ッ…だめ…ッ…」
石野さんの動きが止まる。
「駄目?」
柚香が、快感で涙目の私を見つめる。
「気持ちいい、でしょ?」
コクリ。素直に頷いてしまう。
「ストッキング、脱いじゃお、ね?」
「ダメ…」
「もー、頑固。葵」
クスクスと笑いながら、柚香は私のニットを簡単にたくしあげてしまう。
「綺麗…」
ちゅっ…ちゅっ…。唇にそうしてくれたように、私の乳首も優しく啄む柚香。もどかしい気持ち、恥ずかしい気持ち。ないまぜになる。
「美味しいよ?見て、葵のおっぱい。恭介さん」
扇情的な口調と手指で、柚香は私の上半身を支配していく。掌は柔らかく、指先は、やや鋭利に。
「食べたいでしょ?」
言いながら、淫靡な小悪魔が私の乳首を口に含む。
「あ、ア…ぁーーッ…ハァ…あぁ…」
「気持ちいいんだ、葵。こういうのが。恭介さん、見てるよ。えっちな、双葉さんを」
とてもえっちでよかったです
まつばやし さん 2021年3月10日