義兄への想い (Page 2)
「好きだよ、兄さん……」
無意識に想いを口にした。いつもは心の中でつぶやく言葉が、つい口を衝いた。兄は深い微睡みにいるはずだから大丈夫だが、言葉にしてみると思いのほか水面に石を投ずるが如く、じわじわと波紋のように感情が揺らめき、兄への思いで胸がいっぱいになった。
目尻からこぼれた涙を拭こうと身をよじると、突然腕の拘束が強まった。
(え……)
気が付くとソファーに仰向けになり、兄に押し倒されていた。あっという間に天と地がひっくり返った。驚く間もなく、唇に生暖かいものが押し付けられた。そして目の前にある兄の苦しげな表情に気付き、声も出なかった。ひどく熱い唇が自分のものとぴったり合わさっていた。まるで一対であるかのように。
(夢なの?……いや、酔って誰かと間違っているの?)
慌てて兄の胸を叩くがびくともしない。全身の重みを掛けられて胸が苦しい。夢にまで見た兄とのキスは突然訪れた。
「ん…、んん……!!に、兄さん!あ……っ!」
顔を背けようとすると、兄の厚みのある手に頬を包まれた。そしてまるで小鳥が啄むように優しくキスをされる。下唇を食むと、歯列ににゅるりと熱い何かが入り込む。それが舌だと気付き、声を上げようとしたらその隙に口内に侵入を許した。兄は呼吸を荒くしながら、舌で歯や上顎をなぞる。唾液と熱を注がれ、あっという間に思考が溶かされていく。間違っている、抵抗すべきなのに、ひた隠しにしていた兄への恋情がそれを阻んだ。
二人の口内の温度差がなくなり、粘膜が緩みだしたところで兄はゆっくりと顔を離した。唇は唾液で濡れ、熟れた果実のように朱に染まっている。そして先ほどとは違う兄の瞳の色に息を飲んだ。明らかな欲情の色が見え、一言も発することができない。沈黙が続く中、兄はゆっくりと口を開いた。
「悪いな、いい兄貴には……もう、なれそうもない」
呟く兄の表情は辛そうだった。眉間にしわを寄せていたが、突然激しく口付けられた。荒々しく私の胸を掴むと激しく揉み上げた。さらに服の中へと手が伸び、這うように撫でられる。
「やんっ!だ、だめだって!こんな……ん、んあっ!」
突然の愛撫に私の口から甘ったるい声が漏れた。恥ずかしくて口元を押さえると、兄に両手首をまとめられ、頭上で拘束される。衣服を上にずり上げると、胸元がひんやりとした外気にさらされた。
控えめな乳房を前に、兄は一瞬固まったものの、再びやわやわと胸を愛撫し、頂に舌を添わせ、甘噛みをし、吸い上げる。ぷっくりと膨れ上がった頂は驚くほど赤く、誇張していた。荒い吐息を吹きかけられると、思わず背中が反る。恥ずかしさで目尻から涙が落ちる。兄はその涙を舌で吸い取り、うなじや鎖骨、そして唇へとキスの雨を降らせた。大切にされているような気分になり胸が熱くなる。
兄は私の太腿を撫で、するすると下着ごと衣服を脱がしていく。気が付けばあっという間に全裸にされていた。さっきから兄のスラックス越しに熱を持った部分が当たっている。それを隠そうとせず、それどころか私の太腿へと擦りつけている。その事実に私の心は震えた。
兄は欲している。私を求めている。
私の視線に耐えかねたのか、兄は体を起こして髪を掻きむしり、舌打ちをした。
兄は着ていたシャツを荒々しく脱ぎ捨てると、再び私の上へと戻ってきた。肌と肌が触れ合う感触と、互いの熱に溶けてしまいそうだ。感じる心臓の鼓動は兄のものなのか、私のものなのかもわからない。見つめ合っていた兄の表情は酒に酔っているとは思えないほど真剣だった。
「……兄さん」
「……ああ。もう、限界だ。もう、だめだ」
兄は激しく口付けると、私の太腿を撫で上げ、茂みの奥へと手を伸ばした。そこはすでに驚くほど滴り、朝露が茂みを覆っているようだ。羞恥心で顔を逸らすが、兄は「よかった。感じているんだな」と言い花弁に付いたぬめりを確かめるように指で掬い上げた。微かに感じた指の爪の硬さに脚がびくつく。兄の一挙一動に反応し、甘い声を出してしまう。
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