もう一度会いたい (Page 2)
気が付くと私の衣服は脱がされ、直人は鬱陶しそうに着ていたワイシャツを脱ぎ捨てていた。直人の上半身の筋肉や、本能に操られた虚ろな瞳に欲情した。直人の艶めかしい吐息にすら反応してしまう。
(軽い女だと思われてもいい……中を突いて、激しく抱いてほしい)
直人は避妊具のパッケージを乱暴に開けると、するすると自身に被せた。そして私の太腿を抱えると迷うことなく一気に最奥まで押し込んだ。膣内が押し広げられる感覚と、激しい快感が私を襲った。
「んあぁ!!……っふ、ん、ん、ん、あ……」
「っく……ん……」
最奥まで押し込み終えた直人は、身震いすると、容赦なく激しく腰を動かし始めた。私の腰を掴み、ただひたすら角度を微妙に変えて腰を打ち付けた。愛にあふれたセックスではない。それでも私の中からはとめどなく愛液が流れ続け、互いの体がぶつかり合うたびにいやらしい水音が響く。直人は激しく抱きながら私の口の中に指を突っ込んだ。快楽に身を任せた私は、躊躇することなくその指に舌を絡ませた。情けない顔をしているに違いない。唾液を垂らし、気持ちいいことしか考えられない。もっともっと、繋がりたかった。
「はぁ、は、はぁ……ん、直人……」
「は、づき……、はづき……」
直人は今日はじめて私の名を呼んだ。愛おしそうに、そして苦しそうに。
直人は私を四つん這いにさせると、激しく腰を打ち付け始めた。尻を突き出させて、優しく撫でたかと思えば、掌で強く叩く。まるでただの人形のようだ。シーツに顔をうずめながら、自然と涙が出た。それでも直人が感じてくれているのが嬉しいだなんて、どうかしているとしか思えない。直人の手がクリトリスを掠めると、脳がびりびりと痺れた。私の中も締まったのか、直人の上擦った声が背後から聞こえた。それから、打ちつける腰に合わせて敏感になった部分を指の腹で擦り上げられた。
「ひゃんッ!んあっ!」
声を抑えることもできず、悲鳴にも似た嬌声を上げてしまう。直人は最奥を突くと脱力し、私に重なるように覆いかぶさった。その瞬間、私も絶頂を迎えた。
完全には萎えていない直人の男性器は、まだ私の体に入ったままだ。私の膣内は痙攣し、決して直人を離すまいとしているようだった。避妊具越しに放たれた直人の熱を感じ、余韻に浸っていた。
「あいつとの……セックスより、よかったか?」
直人の声が耳元で聞こえた。言葉の意味を理解するまでに少し間が開いた。
「……え、何が?それ、誰のこと?」
「一週間前に、イタリアン食べてただろ。茶髪のいけ好かない奴と……アイツだよ」
直人が怠そうに私の中から男性器を引き出すと肩を落とした。沈黙が続くと、情けないのか直人は顔を伏せてしまった。
(あ、もしかして……)
そのとき、先週弟と最近できたばかりの店に行ったことを思い出した。文句を言い合いながら注文する私たちを見て、店員が「すてきなカップルですね」と言っていたことを思い出した。いい年して弟と出掛けているのかと思われそうで、なんとなく訂正せず注文を終えていた。
唖然とする私の顔を見て、直人は「ごめん」と一言呟いた。すべての原因が我が愚弟であることに気付き、私は思わず噴き出した。直人は突然の笑い声に驚き、顔を上げた。
「チャラい弟でごめん。それ、うちの弟なの」
「……弟、え!?弟!?」
直人の顔が真っ赤に染まったかと思えば一気に青ざめた。汗と唾液まみれの私を見て自分の過ちに気付いたらしい。直人にこんなにも熱い嫉妬心があったなんて知らなかった。胸の中にじんわりと温かいものがこみ上げた。
謝ろうとする直人を抱き寄せると、耳元で「もっと、激しく抱いてほしい……ダメ?」と囁いた。今夜の二回目のセックスは甘く、涙が出た。
Fin.
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